緊急事態宣言を受けて休業中の銀座のパチンコ店 (Shutterstock)
都道府県知事の自粛の要請や指示にも従わず営業を続けるパチンコ店に対するバッシングがGWを前から連日報道された。一時は昼時のワイドショーの全チャンネルが同時間帯にパチンコ店に対する批判を展開するほどだった。
筆者は、無理矢理に営業を続けたパチンコ店経営者の思いや、同企業の経営状況など知る由も無いが、少なくとも弁護するつもりも無く、やはり同店経営陣は自治体に対する協力休業を選択すべきであったと頑なに思っている。
しかし一方で、果たしてパチンコ店は、社会的不安が増長される中で、それほどまでに「悪しきもの」であったのかも冷静に顧みたい。営業か自粛かの選択を迫られた多くの業種業態、そして個店の中で、パチンコ店が突出して社会的なバッシングを浴びる存在であったのか、と。
まず本稿の前提として、「
パチンコ店は違法であるから、営業の自粛は当たり前であり、そもそも存在してはならない」という論には与しない。本論点については、外部サイトの「BLOGOS」において、
国際カジノ研究所所長の木曽崇氏が十分な論拠を持って解説している*ので、そちらを参考にして欲しい。
〈* “
パチンコは『グレー』ではないし『違法』でもない”(4月27日)、”
パチンコとコロナ禍に関する間違った論調について“(5月3日)木曽崇〉
さてさて、ワイドショーでは報道されない、コロナ禍中における日本全国のパチンコ店の対応であるが、業界関連誌サイトの調査によれば、GW最中の5月5日現在、調査対象8300軒のうち8196軒、
98.7%が自治体の要請に対する協力休業を実施していた。
警察庁の発表によれば、令和元年12月31日現在で日本全国にパチンコ店は9639軒となっているが、この数字の中には、そもそも休業中(実質閉店)のパチンコ店や、その後に閉店したパチンコ店が含まれている事、また調査対象に含まれなかったパチンコ店の中には、休業要請の出されていない県のパチンコ店や、一部確認が取れなかったであろうパチンコ店があったであろう点は想像に難くなく、仮に営業中であればテレビ局がこぞって取り上げてくれたであろう点まで考慮すれば、この98.7%という数字はあながち間違いではない。
業界関係者が参考にしている某サイトの集計でも、
調査対象9072軒に対し8660軒、95.5%が協力休業を実施している。ちなみに、
休業率100%を達成している都府県は27に及ぶ。
他業種他業態における全国的な休業率を示すデータが出元にないのが残念ではあるが、3000社8000軒以上が混在するという点を加味すれば、この休業率の高さは極めて「
優秀な対応」であると言えるはずだ。