国のコロナ経済対策が酷評される中、注目を浴びる明石市独自の取り組み
泉房穂・明石市長(4月23日、市長応接室)
国のコロナ経済対策が、困っている人々にまったく届かない。
プレジデント・オンラインでは
「Too Little, Too Late, Too Fake(少なすぎ、遅すぎ、嘘すぎ)」と最大級の酷評を浴びている。「Too Fake」なんて言葉は、これまで見たこともない。
そんな安倍政権への怨嗟の声が高まる中、逆に賞賛を浴びている市長がいる。兵庫県明石市の泉房穂市長だ。
例えば「
デイリー新潮」は、泉市長のことをこう評している。
「弁護士、社会福祉士の経験がものをいったか、このコロナ禍での対応が高い評価を受けている」
ハフポストはこう書いている。
「明石市の独自の取り組みが話題に。Twitterでは歓迎の声も上がっている」
いったいどんな施策なんだ?
明石市のウェブサイトを見ると、4月16日に市長が会見で発表した
コロナ対策の補正予算案の説明資料がある。その冒頭に「補正予算のポイント」と「3つの緊急支援策」が箇条書きで列挙され、続いてこんな言葉がある。
「困っている市民に手を差し伸べるのが行政の使命・役割」
まさにその通りでまったく同感だ。こういうメッセージが広報資料に書いてあるのは初めて目にした。それだけの覚悟を示したということだろう。これは真意を聞きに行くしかない。
市長応接室でソーシャルディスタンスを保って話をする泉市長と私。窓越しに見えるのは明石海峡と淡路島。窓枠の右には明石特産たこのぬいぐるみ
明石市の泉市長という名前に覚えがない方も、「あの“
暴言”で有名な」と言えば「ああ、あの!」と思い出されるだろう。職員に対する「火つけてこい!」の録音データが去年1月、突然表に出て日本中から袋だたきにあい、市長を辞職した。だがその後の出直し選挙で、7割を超える圧倒的得票率で見事に返り咲いた。
実は泉は私の大学の同級生。その後同じように留年し、同じ年にNHKに入った同期でもある。もっとも泉は早々と1年でNHKから転職し、その後、弁護士→民主党衆議院議員→郵政選挙で落選→社会福祉士の資格取得→明石市長に69票の僅差で初当選、と歩んでいる。
泉は市長になってからも時折クラス仲間の呑み会に顔を出す“呑み友”でもある。だから泉との会話は「市長への取材」というより「友人同士の会話」のようになる。