コロナ対策の使い捨て手袋が森に散乱。自然環境改善の陰で目にしたゴミの山

 いまだ世界中で猛威をふるい続けている新型コロナウイルス。収束への道のりはまだまだ長いが、その一方で全世界的な外出自粛や渡航制限により、自然環境が急速に改善されているという報告が各地で出ている。

世界的には自然環境回復も

森に散らばった使い捨て手袋

森に散らばった使い捨て手袋

 例えば、大きな被害が出ているイタリアのヴェネチアでは、観光客の減少によって運河の水が澄んだことが大きな話題となった。また、アジアのインドでは大気汚染が改善し、微小粒子が過去20年間で最低を記録したという。  厳しい状況が続くなか、こういった話題はせめてもの明るいニュースだ。しかし、実際に自然のなかへと足を踏み入れてみると、そこには暗い影もある。  筆者が現在滞在している欧州・ポーランドでは、外出時のマスク着用が義務づけられており、違反者には罰則もあるなど、厳格なコロナ対策が行われている。そんななか、4月20日より、森での散歩が解禁されたので、足を踏み入れてみると……。
需要の高まっている使い捨て手袋だが……

需要の高まっている使い捨て手袋だが……

 幹線道路沿いにはゴミ! ゴミ! ゴミ! コロナ対策で一時的に閉鎖される前よりも多くのゴミが散らかっていた。なかでも多かったのが、使い捨ての薄い手袋だ。営業が許されているスーパーや薬局では、必ず入店する際に着けなければいけないことから、利用者が増えているのだろう。  わざわざ森に来て捨てている人は少ないだろうが、風で飛ばされてきたのか、草木にはまるでクリスマスツリーの飾りのように大量の手袋が付着していた。

割れた瓶が森に散乱

ペットボトルや空き瓶缶が大量に

ペットボトルや空き瓶、缶が大量に投棄されていた

 せっかく解禁された森の散歩で自然を楽しむどころか、文字通り社会の“汚い部分”を目の当たりにすることに。そこで、筆者は居候させてもらっている弟家族と「エコパトロール」に繰り出すことにした。  しかし、意気揚々とゴミ拾いを始めたはいいものの、圧倒的な物量にはまるで敵わず。特に多いのが、アルコール関連の空き瓶や缶、ペットボトルやスナック菓子の袋だが、大きなゴミ袋はあっという間にいっぱいになってしまう。
持参したゴミ袋はすぐズタボロになってしまう

持参したゴミ袋はすぐズタボロになってしまう

 瓶は割れているものもあるため、重みも相まってゴミ袋はすぐズタボロに。捨てられたビニール袋などを拾って“再利用”するゲリラ戦術に切り替えるが、やはり圧倒的なゴミの前には、ほとんど歯が立たなかった……。
次のページ 
環境問題について再考するときか
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会