ついに国会へ波及した #SaveTheCinema の動き。総理答弁を信号無視話法分析
ミニシアターの危機! ついに国会へ波及
署名と要望書の提出から2日後の4月17日、衆議院厚生労働委員会で共産党・宮本徹議員はこの問題について安倍晋三首相に質問。本記事では質疑の一部を信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(青はOK、黄は注意、赤はダメ)で直感的に視覚化する。(※なお、色表示は配信先では表示されないため、発言段落の後に( )で表記している。色で確認する場合は本体サイトでご確認ください)
質問に対する安倍総理の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。
<色別集計・結果>
●安倍総理:赤信号37% 黄信号47% 青信号4% 灰色12%
*小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはならない
質問の回答(青信号)はわずか4%。つまり、ほとんど質問に答えていない。一方、不要な言葉や意味不明な言葉を意味する灰色は12%もあり、何を言っているのか理解しづらい場面が度々見受けられた。
いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。
なお、実際の映像は真壁隆氏のYoutubeで視聴できる。(本記事で取り上げた場面は、2分9秒〜8分13秒)
ミニシアター経営の現実を一顧だにしない安倍総理
宮本議員:「先日あるミニシアターを経営されている社長さんに話を伺いました。家賃は2ヶ所で月500万円だというお話です。これ(持続化給付金の)200万円では全く足りない。1ヶ月分の(家賃にも)足りない。東京都の協力金1ヶ所で50万円、2ヶ所で100万円。これ足しても300万円なんですよ。(中略)この給付金、名前を持続化給付金という名前ですけども、この規模では持続化できないという声があがっているんです。持続化できない。これ200万円という上限の抜本的な引き上げが必要だと思いますよ」
安倍総理:「まー、今回、世界各国はですね、えー、様々な対策を行なっておりますが、えー、中小企業、中堅企業や、えー、個人事業主等に対する給付としては、あー、日本のこの200万円、100万円というのは、えー、いわば相当、おー、思い切った額でもあるんだろうと思っております。(赤信号)
そして、今までに無かったことを今回やらさせて頂いているというところでございますが。あのー、ま、例えばですね、えー、えー、今回、えー、えー、実質無利子、いー、そして、無担保、最大5年間の元本返済不要の、まあ、融資も行っていくこととしておりますし。えー、雇用調整助成金による人件費の補助。そして、国税や地方税、社会保険料の猶予。おー、のほかですね、えー、またこの持続化補助金の上限額を通常の2倍の100万円に、いー、引き上げるなど、おー、特別な枠を措置するなど様々な政策を、くち、駆使して、手厚く支援をしていく考えであります。また、緊急の小口資金につきましてもですね、え、これは最大80万円。えー、これは返済、めん、免除付きでございますから。(黄信号)
そういうものを、え、活用して、えー、頂きたいとこのように考えております。(青信号)」
宮本議員:「そういう諸々のメニューをおっしゃったけども、補償金はいつ出るか分からない事態にあるわけですよ。(中略)総理はコロナが終わった後、V字回復だ。その予算を組むんだということ言ってますけどもV字回復の前に事業者が倒れちゃうんですよ。この水準では」
まず、総理答弁の1段落目は論点をすり替えており、赤信号とした。現行の持続化給付金では家賃すら賄えないという実態を具体的な数字で示された直後にもかかわらず、総理はその給付金が「思い切った額である」となぜか自画自賛している。質問を聞いていなかったのか、あるいは総理は数字の大小を判断できないのではと心配になってしまう。
1段落目
【質問】持続化給付金上限の引き上げ
↓ すり替え
【回答】持続化給付金上限
続いて2段落目は質問に関係する背景や経緯(発表済みの経済対策)を再説明しているだけであり、黄信号と判定した。融資についても色々と説明しているが、給付と違ってあくまでも借金であり、返す当てがなければそもそも借りることは難しい。また、この質疑の前日にはすでにメディアは支援内容を整理して報じており*、総理の答弁には特に目新しい情報すら無い。
〈*「<新型コロナ>給付金支給 早くてGW明け」|東京新聞4月16日〉
最後の3段落目は「発表済みの経済対策を活用してほしい」という趣旨の答弁であり、質問である持続化給付金の上限引き上げに対して遠回しに「No」と回答したと判断して、青信号とした。質問の回答はこのわずか1文であり、それ以前の長々とした答弁は、自画自賛(1段落目)と再説明(2段落目)。残念ながら総理の答弁は時間の無駄でしかない。宮本議員も答弁後に指摘している通り、現行の給付水準のままではコロナがいずれ収束したとしても、その前に事業者は倒産してしまうだろう。
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