弔い合戦の勝率の高さと自公の組織力などから「深沢氏優位」の下馬評が流れていたが、一方で波乱要因もある。告示直前の各種世論調査の内閣支持率が軒並み下落、不支持率が上回ったのだ。この傾向がそのまま投票行動に反映されれば、「田中氏逆転」もありうることになる。
波乱要因はほかにもある。れいわ新選組の山本太郎代表が、消費減税も訴える田中氏への支持表明をする可能性が出てきたことだ。11日の街宣後の囲み取材で、立憲民主党の大串幹事長代理に対して筆者はこう聞いた。
「田中候補は消費減税も訴えていますが、山本太郎代表に改めて協力要請を呼びかけることはないのですか。今までは消費減税が(れいわを含めた野党選挙協力の)ネックでしたが、田中候補はクリアしています」
大串幹事長代理はこう答えた。
「山本太郎氏は安倍政権と対峙していきたいと考えていると思うので、ぜひ協力してほしい。田中候補も消費減税を訴えているので、ぜひ山本代表には応援をしてほしい」
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて支持拡大の原動力といえる全国ツアーを2月から自粛しているれいわ新選組だが、それでも直近の支持率は増加傾向にあり、国民民主党よりも上回っている。
しかも4月6日に発表された「れいわ新選組のコロナ緊急提言」は、「『真水100兆円』で、徹底的にやる! 出歩くな、自粛しろの代償は、国が補償しなければなりません」と銘打ったもの。「消費税ゼロ」や「1人あたり20万円の現金給付」や「イベント自粛や飲食店、中小零細・個人事業主と労働者への損失補填」などの緊急対策が並んでいる。
田中氏や応援弁士が訴える内容と重なり合い、れいわが安倍政権と対峙する野党陣営に加わって田中支持を表明してもまったく違和感がない。発信力のある山本氏が補選に“参戦”すれば、かなりの影響を与える可能性がある。次期衆院選での選挙協力を占う静岡4区補選から目が離せない。
<文・写真/横田一>