深沢候補の選挙事務所
一方、自民公認で公明推薦の深沢陽一候補(43歳)は望月氏の後継者であることから“弔い合戦”で有利のはずだが、新型コロナウイルス感染防止のために異例の対応をしていた。
実質的な一騎打ちとなる相手候補と野党幹部と街宣をした11日、静岡市清水区の選挙事務所を訪ねたが、「今日の街頭演説の予定はありません」(選対幹部)との回答。14日の告示日までも街宣や個人演説会は開かず、恒例の出陣式も中止したというのだ。
「告示日に自民党幹部が東京から静岡に駆けつけることもありません。多くの人が集まることになるため、第一声の場所も支持者に告知することもしません。告示後も、安倍首相ら大物議員が現地入りする予定もありません。
自民党が得意とする組織的な街宣や演説会が開けないため、企業団体などの有力な支持者を回って推薦をもらうのが主な選挙活動になっています。
候補者の訴えはネット上で見ていただくことになります。新型コロナウイルス対策については、地元の声に耳を傾けて集約、政府与党につないでいくと訴えています」(選対幹部)
実際、自公の支援を受ける深沢氏の選挙事務所には、壁一面に企業団体の推薦状や「祝必勝 自由民主党総裁安倍晋三」などと書かれた自民党重鎮の張り紙が並んでいた。
深沢候補は中央との太いパイプを強調
そして14日の告示日には、今まで見たことのない光景が現れた。静岡市清水区のお寺で望月氏の墓参りを終えた深沢氏が岸田文雄政調会長とテレビ電話でつながり、こんなメッセージを受け取ったのだ。
「(応援で)現地に入れないことを大変申し訳ないと思っていますが、我々も我々の立場でできることを全力で取り組みますので、どうぞ頑張ってください」
モニタ越しに激励された深沢氏は、望月氏の後継候補であることを全面に出す第一声をあげた。
「望月先生の後任として、しっかりと責任を果たさなければいけない。そういう思いでこの場に立たせていただいている。そういう証であります。この責任を果たせるようにこの12日間全力で取り組んでいきたいと思います」
また「新型コロナウイルスの感染が広がるなか、市民が抱く不安や不自由の声を幅広く聞いて政府に届ける」とも訴え、第一声はネットで生中継(配信)された。“弔い合戦”であることと中央との太いパイプをアピールし、マスク配布や安倍首相の動画などの負のイメージを払拭しようとしたともいえる。