次々と中止されるマスコミ向け試写会。映画産業の不作は2020年だけでは終わらない

コロナ禍が招く文化の危機

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて続く自粛要請によって、崩壊していく文化産業をどう維持すればいいのか。いま、多くの文化産業が岐路に立たされている。  新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言を受けて、東京都では4月10日に休業を要請する施設を公表している。これによれば、劇場や映画館、演芸場さらには博物館、美術館、図書館と、おおよそ文化に関わる施設はほぼすべて閉鎖になっている。  緊急事態宣言は5月6日までとされているが、果たして、本当にその日に解除されるかは定かではない。既に外出禁止令などが出されている諸外国に比べて、多くの人が出歩いている様子を見るともっと長期化するのではないかという不安も尽きない。  筆者も文化施設の閉鎖による影響は既に受けている。図書館の閉鎖がそれである。ライターを生業にしていると資料探しや出典の確認に図書館は欠かすことができない。ところが、感染拡大が本格化した3月には早くも国会図書館が来館サービスの休止を決定。都内各地の図書館もこれに続いている。国会図書館では来館サービスの中止後も、申込みのあった資料をコピーし郵送する遠隔複写サービスは継続していたが、15日からはこれも中止tなる。都内公立図書館では事前に依頼のあった資料をカウンターで貸し出すサービスだけは続いているが、これもいつまで持つかはわからない。  都内で唯一、開館を維持しているといえるのは雑誌専門図書館の大宅壮一文庫。同館では通常は見出し表示1件ごとに従量制課金のオンライン検索サービスを無料で提供。時間を短縮した上で開館を継続している。ようは、 事前に確認した上でどうしても必要な資料だけを調べに来て欲しいというわけである。  先週、筆者は必要な雑誌記事があり訪問したのだが、文字通りの厳戒態勢であった。入口付近にはトイレで手洗いをしてアルコールで消毒した上で入館すること。館内ではマスクを外さないことという案内が張り巡らされている。実際に、アルコール消毒液に手を濡らすだけで中に入ろうとした入館者は「トイレで手を洗って下さい」と注意をされていた。    都内の図書館がほぼすべて閉館するという前代未聞の現象は、これから長期間にわたって影響を及ぼしそうだ。  例えば出版業界では本を出版するにあたって欠かせない校閲が停滞している。校閲者が出典を確認する作業がまったくできないからだ。非常事態が5月6日までに解消せず、長期化することになればどうなってしまうのか。出版社の中には大手書店が休業に入ってしまったために、既に新刊の発売日を先送りする社も出てきている。これによって入金のサイクルにも狂いが生じ、出版社はもとより印刷会社や書き手にまで幅広い影響が及ぶことは否めない。新型コロナウイルスによって文化の衰退は待った無しの状況だ。

ミニシアターも絶滅の危機

 こうした中で、感染源として注目されたライブハウスと並んでジャンル自体が消滅するのではないかと危惧されているのが、小規模な映画を中心に上映するミニシアターだ。  窮地に立たされているミニシアターに対しては、既に映画界の有志が「ミニシアター・エイド基金」を設立し、1億円を目標にしたクラウドファンディングが始まっている。集まった資金は、プロジェクトに参加表明した全国68のミニシアターに均等に分配される予定だ。  ただミニシアターは存続するとしても、そこで上映されるべき作品が窮地という状況は続いている。
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