ビデオ会議の壁紙、さまざまな企業が続々提供開始。急速に流行する文化

広告化する映像世界

 インターネットの世界では、動画が広告の重要な手段になっている。動画のあいだに広告を差し挟むだけでなく、動画の一部を改変して、商品や宣伝を合成する試みもおこなわれている。  ビデオ会議の世界的な使用頻度が高まり、メディアとして力を付けてくれば、広告メディアとして利用され始めるのではないか。  たとえば着ているティーシャツの模様が、企業のロゴに変換される。画面に、特定の飲料が映りこむ合成がおこなわれる。こうしたバーチャル着せ替えや、バーチャル前景が登場してもおかしくない。  ユーザーは、それらを表示することで、広告料を受け取ることができる未来が来るかもしれない。  また、テレワークが標準となったとき、その映像は、現実世界とは異なるものが標準となる可能性がある。  3月の末に、「Microsoft Teams」を利用した上司の姿がジャガイモになった、という話が話題になった(参照:ねとらぼ)。「Microsoft Teams」では、Snapchat のフィルターが利用できる(Lens Creator)。  上司がジャガイモになった一件では、そのまま会議がおこなわれた。そのことから考えて、ビデオ会議では、必ずしも姿が人間のものである必要はないことが分かる。VTuber のように姿を変えてビデオ会議をおこなってもよいのだ。アニメやSFなどのフィクションでは、そうした世界が多く描かれてきた。未来と思われていた世界が、ようやく現実になろうとしている。  ビデオ通話や、ビデオ会議自体は以前からあった。しかし、いまいち生活や仕事に密着することはなかった。新型コロナウイルスによる世界的な外出規制や自粛は、まだ当分続くだろう。その結果、人々の行動様式が大きく変わる可能性がある。SNSから動画による直接対話に、人々がシフトするかもしれない。  新型コロナウイルスの蔓延は突発的で危機的な事態だが、その結果社会がどのように変わるのか興味を持って見ている。 <文/柳井政和>
やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。2019年12月に Nintendo Switch で、個人で開発した『Little Bit War(リトルビットウォー)』を出した。2021年2月には、SBクリエイティブから『JavaScript[完全]入門』、4月にはエムディエヌコーポレーションから『プロフェッショナルWebプログラミング JavaScript』が出版された。
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