「自分でやってみる」から生まれた国会パブリックビューイング

真壁さんが出会っていた人たち

 なぜデモ隊のメンバーであった真壁さんがそちらを抜けて国会審議の街頭上映の方にコミットすることにしたのか。ライブトークで真壁さんは、こう語っている。 ********** (国会パブリックビューイングへの)かかわりは、なりゆき。それこそ、6月15日にやろうっていう話になって、その中で、とあるメンバーが「なんとか上西先生をサポートしたい」と言っているので。で、たぶん、他のメンバーの誰かが全体的にサポートしなければできないと、わたし的には思ったわけです。だからそれを私がサポートしなきゃいけないと、私が勝手に思ったわけ。  で、サポートすることで、全体としては、やっぱり高プロの問題点も含めて伝えられると思ったので、それは、いろいろとあるかもしれないけれども、やれる分だけやろう、と。やれる余地があるから、最大限。  最終的に、上西先生の提起が、仮に6月15日にできなかったとしても、やるっていうことが必要だと思って。 **********  自分が動かなければ、このアイデアは形にならない――そう真壁さんは考えて動いたのだろう。そして彼がそう動く前には、手弁当でみずから考えて動く人たちとの出会いがあった。既存の団体の運動とは異なるスタイルで、黙ってプラカードを掲げるスタンディングを行ったり、「ティッシュです」とだけ言って駅前でチラシ入りのティッシュを配ったりしていた人たちとの出会いだ。
2018年6月14日新橋SL広場。声をあげないスタンディング。

2018年6月14日新橋SL広場。声をあげないスタンディング。

スタンディングと共に駅前で配布されたティッシュ。

スタンディングと共に駅前で配布されたティッシュ。

 ライブトークで真壁さんはこう語っている。 ********** ●真壁:今、思い出した。やっぱり、単純に、楽しかったっていうのはある。6月15日に向けて、街頭でそれまでやってた人たちと「初めまして」みたいに結びつくわけじゃないですか。で、「高プロ反対」って言ってプラカードを自分たちで作って掲げて、サラリーマンが4、5人でこうやったり(ティッシュを配ったり)、しているわけですよ。そういうの、すごい刺激を受けたし。で、それもみんな、手弁当でしょ。プラカード作った人も手弁当だし、その中でティッシュ6000枚作るんだって(最終的に9500枚)、あれもすごかったけれど、その前で、目の前で、「これ、お金ある?」って言って、私、知らない人同士だったんですけれど、こう、お金出すわけですよ。「足らないでしょ」って。それが万券出すわけよ。その場で。「え~っ!」って。  こうやって自分たちの身銭切っていろいろやってんだってことを、それを目の当たりにしたから、やっぱり、それ自身の衝撃は結構、ありましたよね。衝撃というのと吸収、「あ、こんなことっていうのが街頭で起きているんだ」というのは、すごい刺激になったし、勉強になったし。 ●上西:市民運動との出会いなのね。 ●真壁:市民一人ひとりの運動。たぶん、運動っていうことでもないと思うんです。市民個人が、いろいろと街頭で実際に、いろんな言葉を交わしたり、いろんな苦労とかをしながらやっているっていうのが、すごく新鮮で、いっぱい学べることがあるなって。学ばせてもらえるなっていう。こういう人たちと一緒にやっていきたいなっていう思い。  本当、教えられることがすごい。例えば労働組合の先輩とか、ある組織が、組織で言えば、いま話すと批判的に聞こえちゃうかもしれないけれど、街宣車があって弁士が6分か5分ぐらいの尺があって、5、6人話をして、っていう。だけど、その場で起きていることっていうのは、その人その人が、一人ひとりが、「こうした方がいい」っていうことを、自分で考えて、自分でアクションを起こして、で、その反応を見ながら工夫を変えてみたりとか、明日はこうしてみようというのをやっているわけじゃないですか。  そういう経験っていうのは、少なくとも労働組合の仕事の中では、それはまあ、ありていに言えば、ないわけですよ。いつも行って、とにかく机が出るからそこでティッシュをもらって、チラシ入りのティッシュをもらってそれを配ればいいという。それを改善しようとか……。 ●伊藤:労働組合って、団体で運動をどう回すかと考えちゃうから。(真壁さんは)個人の力っていうのを発見したんだと思うんです。(中略)真壁さんは最近、もう一度、(年越し派遣村の時のような)そういう市民とか個人の力とか、まあ、我々はそこで気がつきながらも、ちょっとまた団体、集団的な行動とか、何かやるにしても運動的に回す、組織をどう回すかみたいな発想になっちゃっているところを、もう一度もの足りなく感じて、「個の力」に目覚めて頑張っているところが、今の彼のエネルギーかなと。 ********** 「一人ひとりが、『こうした方がいい』っていうことを、自分で考えて、自分でアクションを起こして、で、その反応を見ながら工夫を変えてみたりとか、明日はこうしてみようというのをやっている」――そういう人たちと出会い、刺激を受けていたからこそ、真壁さんは6月15日に私のアイデアを形にしたいと考え、動いてくれたのだと思う。

街頭上映直後から次のアクションへ

 6月15日の街頭上映は多くの人を集め、ツイッターでも反響が大きかった。私たちも手ごたえを感じたが、その時はまだ、国会パブリックビューイングという団体は存在していない。次につなげようという話し合いもなく、その日はそのまま解散した。  けれどもツイッターのグループDMでのやりとりは続いた。一番前のめりだったのは、真壁さんだった。  私が翌日6月16日の未明3:35に「必要な機材などを含め、野外上映マニュアルを作っていただけると各地に引き継いでいけて良いですね」とツイート。真壁さんは出張前泊のホテルで前日の動画の高画質版を早朝にアップロードし、「全国で街頭国会中継実施しましょう!」とツイート  そして彼は6:30頃から7:00頃にかけて、グループDMに次のように続けて投稿した。 **********  少ししたら飛行機に乗ってしまうのですが、これからログ追います。  振り返る間もなそうですが、改善点、どんどん上げてもらえると嬉しいです!  あっ、360度動画は月曜日くらいに上げます。  プラダン(リンクつき)の店頭版(折りたたみなし)、A2プラカ用に6等分してあったものを8枚、養生テープでつなぎました。  どこでもシート(リンクつき)600mm×800mmが25枚繋がっています。うち4枚分をプラダンに養生テープで貼り付けました。  100均の一番長い突っ張り棒を、スクリーンがまがらないように、骨組みとして、裏面の一番上に貼り付けました。  25枚は商品の内容量です。使ったのは4枚分です\(^o^)/  のぼりポール(旗竿)3本。ホームセンターで1本400円くらい。スクリーンの資材は以上です。 **********  この勢いがあったから、私たちはその後、既存の団体の街宣の一部に国会審議上映を組み込む形でかかわったあとで、そういう形ではなく自分たちのやりたい形でやっていきたいと、団体を立ち上げたのだった。
次のページ 
「まずは動く」から広がる国会PV
1
2
3
4
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会