引きで見るとなんとも弱々しいダサさを存分に醸し出している看板。東アジア諸国で見かける日本語の看板に近いものを感じてしまう
一昨年、駅名公募で1位は「高輪」だったのにもかかわらず、36位の案を採用して問題となった「高輪ゲートウェイ駅」。先日ようやく開業したのだが、今度は改札上の看板が「ダサい」と話題になっている。
去る3月14日、山手線では’71年の西日暮里駅以来、49年ぶりの新駅となる「高輪ゲートウェイ駅」が開業した。
今年行われるはずだった東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせた暫定開業であることと、開業記念イベントが新型コロナウイルス感染拡大防止で見送られたために大きく報道されることはなかったが、鉄オタをはじめ目ざとい人たちは気づいていた。
改札上の看板がダサいことに。
ツイッターなどのSNS上では「名前もダサければ看板も……」とか「高輪ゲートウェイ駅の駅名明朝体で書かれてんのやばいな、とんでもなく見づらい」などと批判が並べられたのである。
写真を見ると確かになんとなく「ダサい」し、「見づらい」。それはなぜなのか? 普段から数多くのフォントを扱うデザイナー3人を呼び、匿名&覆面という条件で遠慮なく語ってもらった。
新国立競技場などで有名な隈研吾氏がデザインした駅舎
週刊誌などの雑誌をメインにデザインしているA氏。実話誌やパチンコ雑誌のデザイナーであるB氏。不動産関連の広告媒体でデザイナーをしているC氏の3人に聞く。一体、どこがダサいのか?
「うーん……まあ、全体的に気持ち悪いんですが、
細い明朝体の文字を白抜きしているのが特に気持ち悪いし、看板なのに文字が全然目立っていないですね」(B氏)
「
白で抜くならゴシック体です。なんでこんな華奢なのを選んだのかなと思います」(C氏)
日本で使われる主要フォントは明朝体とゴシック体の2種類で、縦横の太さが均等なゴシック体は視認性が高く(遠くから見ても文字が判別しやすく)、看板や雑誌の見出しに用いられることが多い。
「この看板文字はヒラギノ明朝体という既存のフォントをそのまま使っていると思われますが、雑誌や書籍の本文でよく使われるものなんです。小さくても読みやすい、優しい文字。それがこんなに拡大されて、白日の下にさらされてね。
ヒラギノを辱めるのはやめていただきたい!(笑)」(B氏)