グアヤキルの街で毛布を被せてベンチの上に置かれた死体。COVID-19以外の死者も受け入れる場所がない(Photo by Francisco Macias/Getty Images)
南米エクアドルにてコロナウイルス感染による死者が多数出て埋葬できない状態が続ているという出来事が日本でも伝えられた。(参照:「
AFPBB」、「
時事通信」)
それが顕著なのは人口270万人の商業都市グアヤキルだ。湾岸都市グアヤキルは人口では首都キトの160万人を上回るエクアドルの最大の都市だ。
エクアドルは貧困層の多い国で世銀はコロナ危機に対して2000万ドル(21億8000万円)の救援金を用意しているが、保健体制は他のラテンアメリカ諸国と同様に脆弱である。今回のように急激な感染と死者の処理において満足できる体制になっていい。(参照:「
El Pais」)
同国紙のひとつ『
EL COMERCIO』によると、コロナ感染の最初の死亡者は2月29日に同市で発生したと報道されている。それ以後、感染者は急激に増加し、死亡者の数では南米で最大となっている。4月2日の時点で全国レベルでの感染者は3163人で、グアヤキルを首府とするグアヤス県では2243人となっていた。(参照:「
Andina」)
日本を含め世界が驚愕したのは、同国紙『
EL UNIVERSO』が3月31日付で、550人の死亡が同月27日までに発生していることを警察が明らかにし、450の遺体がまだ回収できないで路上に放置されていることを報じた時であった。
マリア・パウラ・ロモ官房長官が先週明らかにしたように、3日間に100の遺体しか回収できなかったということで、72時間以上遺体を回収できない状態が続いているということなのである。場合によっては96時間もあったという。
気温は摂氏33度で貧困層の住宅は狭く粗末なつくりであるため長時間遺体を室内に安置していると遺体から放つ悪臭に耐えきれなくなる。それで住民は保健衛生面での安全防具も無く素手で遺体を路上に放置せざるを得なくなったということなのである。(参照:「
El Universo」、「
La Vanguardia」)