国境閉鎖に外出禁止〜欧州滞在中、日々変化していったコロナショックが襲う街
いよいよ東京でも「不要不急の外出自粛」が小池百合子都知事より発表された。遅きに失している感は否めないが、具体的にどのような変化が起きるのか。すでに大規模なロックダウンが実施されているヨーロッパを例に、時系列で紹介する。
筆者は新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前の2月中旬からポーランド、チェコ、フランス、デンマークに滞在しており、リアルタイムで変化を目の当たりにしてきた。
まず最初に訪れたのはポーランドだが、2月の時点では「中国や韓国で広まっている病気。ヨーロッパでは深刻なのはイタリアぐらい」という雰囲気が強かった。
一部ではアジア系差別なども起きていたようだが、特に自粛や買い占めなどはなく、飲食店の営業やイベントも通常通り行われていた。公共交通機関も運行されており、一般人がとっている対策といえばせいぜい「観光客などが多い地域は避ける」「うがい・手洗いをする」程度だった。
続いて2月末には電車を使って陸路でチェコに向かったが、こちらも同じEU圏ということもあり、乗っているうちに国境を通過。検査はおろか、パスポートのチェックすらない。
プラハ城やカレル橋は観光客でごった返しており、飲食店や街中でも英語やスペイン語、中国や韓国語、それこそ日本語など各国の言語が飛び交っていた。
2泊3日と短い期間だったが、チェコ観光は無事に終わり、同じく2月末には空路でフランスへと向かうことになった。この辺りから、少しずつヨーロッパの日常に変化が現れ始める。
飛行機でリヨンに向かうと、空港にはマスクをつけた人の姿がチラホラ。これまで何十回とヨーロッパには来ているが、マスクをつけている人は滅多に見かけない。この時点で、コロナの波が押し寄せていることが視覚的に感じられるようになってきた。
日本ではマスクをつけるのは日常的な光景だ。そういった意味でも、視覚的に感染拡大を意識することは難しいかもしれない。しかし、ガスマスクをつける人が街中でチラホラ増えてきたらどうだろう? 大げさな例えだが、それぐらい違和感のある光景だったことを知ってほしい。
泊めてくれた友人たちも、聞くことといえば「日本は大丈夫?」ということばかり。しかし、特にこれといった変化や政府による対策がないことを伝えると、狐につままれたような表情になっていた。
2日目にはリヨンとサンティエンヌによる伝統の一戦、「ローヌダービー」をテレビ観戦した。スタジアムには当然観客も入っており、「ゴールデンタイムにサッカーが観られるなんて、ヨーロッパに来た甲斐があったな」と思っていたが……。
翌日、リヨンの中心地は閉鎖された。中央駅が閉まり、一部の飲食店も休業状態になったという。泊めてくれた友人たちはフライトが延期にならないかと心配していた。
1か月前は「対岸の火事」
フランスでも市の中心部が閉鎖に
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