新型コロナ禍のスペインが中国から輸入したコロナ迅速診断キットに不具合!? スペイン紙報じる

Bioeasy社の迅速検査キット

photo / Bioeasy

スペインが中国企業から購入したコロナ迅速診断キットに不具合!?

 3月26日の時点で、筆者が住むスペインのコロナウイルス感染者は5万人にすぐ手が届くまでに急増している。死者3650人、回復者5400人。ピークに到達するのは4月11日前後と言われているが、それも憶測でしかない。ということは、それまで感染者はさらに増えていく可能性もあることを意味することになる。 そんな中、スペインの代表紙である『El País』が、他紙に先駆けて、スペイン政府が中国のBioeasy社から購入したコロナ迅速診断キットが機能しないことを報じた。  この診断キットは10-15分で陰性か陽性は判断できるということで非常に期待されていたものだ。しかし、スペインの複数の微生物学研究所がそれを検査した結果、診断能力が80%は必要であるのに、同社のそれは30%しかないということが判明したという。ということで、スペイン保健省の配下にあるカルロス3世健康協会は従来のPCR法に基づいた検査を継続する方針を固めたことが同紙によって明らかにされた。  政府はこの診断キットを当初34万テストできる分を購入したという。また昨日25日に政府はこのタイプのキットを550万分のテスト用に注文したことを明らかにした。しかし、それが同じBioeasy社のものであればすべて不良品ということになってしまう。同紙は政府が新たに発注した先については現在不明と報じた。  ただ、同紙が続報したところによれば、この迅速キットはスペイン政府が中国政府から直接支援物資として提供されたものではなく、スペイン政府が国内の代理店を通じて購入したもので、中国国家医薬品局かもBioeasy社にライセンスを出していないものであったと報じており、現在中国政府が他の国に寄付している医薬品にはBioeasyの製品は含まれていないという。

なぜ迅速診断キットが必要だったのか?

 迅速診断キットが至急必要とされていた背景には、PCR法では結果が判明するまでに8時間を要してしまうということがある。特に、医師そして看護師が感染しているか否かが至急必要とされている現在、PCR法は非効率的とされている。というのも、現在まで医師と看護師が合わせて5400人以上が感染しているのである。それは治療看護にあたっている医療スタッフの12%に相当するという。猫の手も借りたい現在、感染が疑われる症状がある医師又は看護師はテストの結果が出るまで自宅などに待機せねばならなくなってしまう。そのため、迅速診断テストであれば10-15分で結果が判明するということで、不足している医療スタッフがこれ以上減る事態を防止するのに役立つと大きな期待を集めていたのである。  また迅速診断キットであれば医療スタッフ全員をテストして症状がなくても感染しているという結果が出れば隔離してもらうということも可能になる。他の医療スタッフを感染させなくても済むという利点があるということだったのである。
次のページ 
ラホイ前首相時代の「負の遺産」
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会