格闘する医師らを阻む、ラホイ前首相時代の「負の遺産」
また不足している彼らを守る医療防護セットがスペインに到着したが、官僚システムが邪魔してまだ必要とされている大半の病院に配布されていないという事態になっている。
その背景に、ラホイ前首相の政権時に政府の歳出削減で医療費が大幅に削減されたことが挙げられる。その為、今回のような事態に迅速に対処できるシステムになっていないのである。
しかも、各自治州の保健省との緊密な連携ができる体制にもなっていない。これらすべてのマイナス要因が前線でコロナ感染と戦っている医療スタッフを感染から守る為の必要な医療防具が不足している事態を生んでいるのである。
今日までに二人の医師が死亡した。ひとりはサラマンカの医師イサベル・ムニョス(59)とコロドバの医師マヌエル・バラガン(63)だ。前者は感染の兆候を感じて自ら隔離していたが、検査結果が判明する前に亡くなったそうだ。
この迅速診断キットが機能しないとなると、一般の市民を対象に感染しているか否かのスクリーニングもできなくなった。ということで、無症状感染者を隔離できなくなったということだ。つまり、そのような感染者がさらに他人を感染させていくという可能性を防止できなくなったということでもある。
近日中に外出に対して更に厳しい制限が設けられると筆者は思う。特に、一部建設工事などは現在も工事を進めているところが結構あるが、最低必要な勤め以外はすべて停止となるはずである。
<文/白石和幸>