「ダイヤモンド・プリンセス」新型コロナ対応の時点から見えていた日本政府の”場当たり的対応”

感染症対策の専門家としては「言語道断」の対応

厚労省からヒアリングをする野党議員

2月21日、新型肺炎対応について厚労省からヒアリングをする野党議員

「2週間の船内隔離は有効(安全)」という前提が崩れたことすら認めない安倍政権を、岩田氏も「言語道断」「物語」と批判していた。「ダイヤモンド・プリンセスはCOVID-19 製造機。なぜ船に入って1日で追い出されたのか」と題する動画(現在は削除済み)を投稿した翌2月20日、野党国会議員とのテレビ電話会議(共同会派ヒアリング)で次のような質疑応答が交わされていたのだ。最初に“14日間隔離問題”を取り上げたのは、元厚生労働政務官の山井和則衆院議員(立憲民主党会派)。 山井和則衆院議員:(動画を見て)非常にショックを覚えました。中に入られた専門家の先生が「グリーンゾーンとレッドゾーンの区別ができていない」ということをおっしゃいました。そこで今日(2月20日)、先生のご発言を国会で報告をさせていただいたうえで「今日500人、クルーズ船から下船されるのですが、念のため、2週間ぐらいは隔離をするべきではないか」ということを私は加藤(勝信・厚労)大臣に提案させていただきました。すると加藤大臣は「もう自由に行動をしたらいいのだ」という答弁だったのです。先生はいかが思われますか。 岩田氏:結局、一連の昨日から今日の流れで思ったのは「科学的な対策はどうでもいい」という感じを受けます。つまり、「感染症対策は何を持って成功で何を持って失敗か」というのを明確に分ける、「どれが人災で、どれが天災なのか」を区別しにくいところがある。だから、ずるい言い方をすると、なあなあで適当な対策をして患者さんが増えても、「まあ俺たちは頑張ったのだ。結果的に患者さんが出ても仕方がないのではないか」という感じの話にすることはできないことはない。  ところが、ちゃんとした対策を取るべきところで取っていないで感染症患者が増えるということは、少なくとも私、プロにとっては耐えがたいことで、「まったくもって言語道断だ」と思っています。 (ダイヤモンド・プリンセスの)クルーズ船の中で、2月5日以降で、暴露の機会が十分にあると思いましたので、いつ感染が起きたのか分からない。そうすると、「(2月)20日で隔離を終了してもいいのか」「今日終了していいのか」という確証となる根拠が失われているわけですね。  従って、アメリカでもカナダでも香港でも韓国でも自国に連れて帰られた方は、みんな追加の14日の隔離をしています。それは取りも直さず、「日本のクルーズ船内の対策を国際社会は信用していない」ということを意味しています。  それでは「日本で降りている方(日本人)は大丈夫だ」という科学的根拠はどこにもありません。ですので、本来であれば、どういう形かは別にして、船を降りられて2週間追加の健康監視をして、他の人への感染の被害を広げないことがすごく重要だと思います。  私も含めてそうなのですが、船に入られたDMAT(災害派遣医療チーム)の皆様とか厚労省の皆様も非常に非常に危険な状態で艦内に入っています。感染対策の専門家としては、ああいう状態でいろいろなスタッフの方が入られるのは、ものすごく耐え難いぐらい不安になるもので、「どうなってしまうのだろうか」と気の毒に思ってしまいました。  あの方々(厚労官僚ら)にもすでに感染者が出ていますけれども、これからさらに新しい感染者が厚労省の方々などで発生しないことを心から願っていますが、そうならない保証はどこにもない。

感染者隔離のやり方は中途半端で、政治的な妥協の産物だった

 院内感染で生死をさまよった経験を持つ原口一博国対委員長(国民民主党)も、隔離問題を取り上げた。 原口氏:立憲民主党の逢坂(誠二)さんと国民民主党の泉(健太)さんが厚労省から聞き取りをして、「本当にこれ(14日間の隔離なし)でいいのか」と言いましたが、実際に下船をした方々からも「このまま家に帰っていいのか」「自分は家に帰りません」という声が出ています。そういう状況について、どのように分析されているでしょうか。 岩田氏:アメリカやカナダのように、もう2週間観察(隔離)期間を置くのが妥当だと個人的には思います。それをしないのであれば、むこう2週間で、その人たちの間で感染症の発症が起きるかどうか、何例出たのかが厚労省の取った施策の是非を教えてくれるのではないか。  本来であればきちんと隔離をして14日間監視をして、(乗客の)500人の方にはお気の毒だと思うのですが、こういう時はやはりミッションをしっかり作って、隔離をするのかしないのかを決める必要があるのです。  今回のクルーズ船でも、隔離はしてみたが散歩の時間を作ってみるなど、非常に対応が中途半端でした。政治的な妥協の産物だと思うのですが、我々が感染対策をする時は、全部科学を根拠にしますので、どんな横槍が入っても妥協しない時は妥協しません。  それが、専門家的な態度と官僚的な態度の大きな違いだと思います。科学という観点から言えば、やっぱり健康監視期間をきちんと見て、その間、人との曝露を最小限にするというのが本来の正しいやり方だと思うのです。
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非科学的で専門性を欠く厚労省の対応
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