3日間で3000枚ソールドの人気イベントを主催する20代前半の男。怨念JAPの素顔とは<ダメリーマン成り上がり道#26>

愚痴を聞きつつ、ノウハウを引き出す

――そうして見くびっていた怨念JAPさんは、今や凱旋MCBATTLEを主催されていますが……。 正社員:「ZEPP Osaka Baysideのチケットが3日で売れたんでしょ? 3日で3000枚売れちゃったんですよ。そんなMCバトルのイベントないんですよ。3日で3000枚売り切るって……。戦極も3回ZEPPでやっていますけど、3回目も2週間目でやっと売り切れたぐらい。そもそも、3000人規模のMCバトルのイベントなんて他にない。俺が知ってる限りでは、高校生RAP選手権の10回目(日本武道館で開催)だけですよ」 ――ここまで成功できたのは、何が秘訣なんでしょう? 正社員:「怨念はよう勉強するやつだったってことですよね。イベントのスタッフでいる人間なんて遊んでるじゃん?」 怨念:「無料で入れて……」 正社員:「関係者ヅラできるみたいな。遊んでるんですけど、怨念とかは真面目にやってた。初期段階から、俺が愚痴を言うなかで、『これはどうやるんですか』『どうしたらいいんですか』とかイベントのやり方を引き出してたと思うんですよ。そこはスゴいですよね」 怨念:「イベント自体、ベースはほとんど戦極と同じっていうか。教えてもらって作っているんで、システムとかも似てるんですよね」 正社員:「でも、凱旋のほうがイベントの展開が早いかもしれないね。ヘッズのなかでも凱旋の仮想敵が戦極になってる」

MCバトルイベント同士はライバル?

怨念:「結構、最近比べられるんですよね。戦極もそうだし、UMB、KOK、MRJとかもそうだし」 正社員:「戦極、UMB、KOKっていうイベントがずっとあって。あとはTHE罵倒とか。ただ、しばらく新しい大会がなかったんですよね。そこで2年ぐらい前に出てきたのが、凱旋とMRJっていう大会。『凱旋は早く戦極抜けよ』みたいなツイートとかコメントは最近よく見ますね。俺が悪で、怨念が正義みたいな流れはちょっとありますね。お前はどう思ってんだよ(笑)」 怨念:「まず、何をもってイベントの勝ち負けなのかわからないんですよ。キャパなのか、売れ行きなのか、再生数なのかわかんないですけど、あんまり他のイベントと比べられても興味がないというか。何も思わないですね。他のイベントに勝とうなんて意識は全然ないです」 正社員:「ない? ホントに……? 嘘だ!(笑)」 怨念:「一番正直に話せるのが正社員さんですから」 正社員:「昔はあった?」 怨念:「勝ちたいというか、『俺もあそこでイベントやりたい』みたいな。『自分の手元にお金があったら、こんなことできたのかな』とか、『こんなイベントを早くやりたい』みたいな気持ちはありましたけど。相手を抜かすとか、自分のイベントのほうが上という考えは特にないですね。そこで競っても、みたいな」 正社員:「僕は争いだと思ってるんで、めちゃくちゃ意識してますよ! 殺るか殺られるかだと(笑)」  そう話しながらも、笑顔が隠しきれないMC正社員! 次回は凱旋MCBATTLEがスタートダッシュに成功した裏側を探ります。 <構成/HBO編集部>
戦極MCBATTLE主催。自らもラッパーとしてバトルに参戦していたが、運営を中心に活動するようになり、現在のフリースタイルブームの土台を築く
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