先進と自治の捻れが生んだ異空間。大麻屋台が立ち並ぶデンマーク・クリスチャニア地区

新型コロナウイルス対策として、4月13日まで国境閉鎖を発表したデンマーク。北欧らしい先進的なイメージの強い同国だが、その首都・コペンハーゲンに「無法の世界」とも言える異空間があることはあまり知られていない。

大都市の真ん中に現れる「楽園」

クリスチャニアへの入口

クリスチャニアへの入口は何か所もあり、気づかないうちに入ってしまうことも。内部は自動車の通行や撮影が禁止されている

 現地で泊めてくれたデンマーク人の友人Mが「面白いところがあるから見てみよう」と案内してくれたのは、クリスチャニアと呼ばれる地区。友人曰く、さまざまなドラッグが売られているそうで、筆者は廃工場や薄暗いテントが立ち並ぶような場所をイメージして身構えていたのだが……。  コペンハーゲンの中心部を歩いていると、「ここだよ」との声。郊外にあるのかと思いきや、いつの間にか中に入っていたらしい。渋谷や原宿を歩いていて、代々木公園に入るぐらいの距離感だ。  たしかに、それまでの近代と中世が入り混じった町並みとはうって変わって、あたりにあるのはサイケデリックなペイントが施された煉瓦造りの建物や、木造の小さな家ばかり。  ここで案内してくれたMに、「トラブルになるから、中では写真を撮らないでね」とやんわり注意される。

白昼堂々と屋台でドラッグ販売

 クリスチャニアはハッキリとフェンスや壁で囲われているわけではなく、何か所も入口がある。その広さはなんと34ヘクタール国内外から多くの観光客が訪れ、一番有名な入口には「これよりEU圏外」との文言が書かれており、「映えスポット」になっているぐらいだ。  中を歩いていると、たしかに英語やスペイン語など、さまざまな国の言葉が聞こえてくる。若者から中高年まで年齢層も幅広く、当初イメージしていた怪しげな空気は無縁だ。  そんなクリスチャニアの中心部には屋外のクラブや屋外ライブステージもあり、さながら野外フェスのような雰囲気。しかし、そんななかでも異彩を放っているのが、ドラッグディーラーたちだ。  フードを被った男とコソコソ値段交渉をして、暗がりで現金を渡す……のではない。フードトラックや屋台のような小売店が、堂々と道端に立ち並んでいるのだ。  マリファナやハシシには品種や値段が書かれており、すでに巻いてある状態のジョイントや、ジップロックに入った現物、クッキーなどのお菓子に混ぜられているものまで、公衆の面前で売られている。  「以前はコカインとかエクスタシーも売ってたんだけど、最近は規則が厳しくなって、おおっぴらには売ってない。もちろん、誰か知り合いとかがいれば手に入るだろうけど」(M)
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クリスチャニアが生まれた背景とは
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