2020年2月27日、安倍晋三総理は新型コロナウイルスの感染防止策として日本全国の小中高校の一斉休校を突如として要請。学校や自治体はおろか文科省すらも寝耳に水の状態で総理が休校要請を発表したため、日本中が大混乱に陥った。各自治体によって状況は様々だが、休校が始まった3月2日〜6日の一週目を終えただけでも、特に共働き家庭における小学校低学年の子供に関連した問題が続出している。
・学童は学校の教室より狭く、濃厚接触による感染リスクが高まっている恐れがある
・学童を朝から開くため、学童職員は長時間労働となり疲弊している
・学童の新規受付が停止されている場合、普段は学童に通ってない子供は学童を利用できない
・日中に居場所がない子供がいるため、結局、休校したはずの学校で受け入れ始めている
(参照:
3月5日 BUSINESS INSIDER「休校対応丸投げ、学童職員の悲鳴「1日11時間勤務、もう限界」。新型ウイルス対応で」)
この問題について、2020年3月2日の参議院予算委員会で立憲民主党・福山哲郎議員は、安倍晋三総理と加藤勝信厚労相に質問。本記事では質疑の一部の答弁を信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(
青はOK、
黄は注意、
赤はダメ)で直感的に視覚化する。(※なお、色表示は配信先では表示されないため、発言段落の後に( )で表記している。色で確認する場合は本体サイトでご確認ください)
質問に対する加藤厚労相と安倍総理の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。
<色別集計・結果>
●加藤厚労相:
黄信号36%
青信号59%
灰色4%
●安倍総理:
赤信号48%
黄信号39%
灰色12%
〈小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはならない〉
加藤厚労相は青信号が半分を超えている一方、安倍総理は
青信号が皆無で質問に全く答えてない。さらに、安倍総理は
不要な言葉や意味不明な言葉を意味する
灰色(配信先によっては色が出ません))が12%もあり、何を言っているのか理解しづらい場面が度々あった。
いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。
なお、質疑の全編は
Makabe Takashi 氏のYoutubeチャンネル(本記事で取り上げた場面は動画の
20:14〜)
学校の教室より狭い学童に朝から子供を押し込めたら感染リスクはむしろ高まるのでは?
学校が一斉休校になれば、共働き家庭の小学校低学年の子供が一人で留守番をすることは困難だ。普段から通っている学童が朝から開所しているのであれば居場所は確保できるが、学校の教室よりも狭い学童に朝から子供を押し込める方が濃厚接触による感染リスクはむしろ高まり、感染症対策として逆効果になる恐れがある。この懸念について、福山議員は加藤厚労相に質問する。その質疑は以下の通り。
福山議員:「わ、私の地元の学童がどう対応するか色々聞きました。現在、朝の8時半から開所することを前提に準備をされれています。が、しかし学童保育の現場は施設としては非常に狭いところがあります。人手の確保もできません。逆に小さいところに子供をぎゅうぎゅうに押し詰める方が濃厚接触のリスクは高くなるのではないでしょうか。朝の8時から学童に押し込めるなら学校に行くのとどこが違うのでしょうか。支援員は足りません。10時間労働になります。矛盾してませんか?学校に行って、授業はない教師は行ってる。教師は職員室にいるのにクラスは空っぽ。学童は狭いところに押し込められて濃厚接触の可能性がある。さらに加えて、今は新しい入所については受け付けないという自治体が多いです。そしたら、ある子供は朝から学童に行けるのに、ある子は学校には行かない。これ、どういうことですか?ましてや給食が止められます。親御さんの、給食の、ごめんなさい、お弁当を含めた昼の負担は相当重くなります。どうですか? 大臣」
加藤厚労相:「
今の委員ご指摘のように、確かにですね、あの、学童、おー、クラブ等においては、ただでさえ人が多いという指摘を頂いておりますんで、これが増えていくということになるとリスクが高まる。その通りだと思います。(
黄信号)
従って、今回においても学校の、まあ、空き教室が空いてますから、その教室を貸して頂く。あるいは教員の方についてもですね、学童保育の方でお手伝いをして頂く。まあ、中には、これ学校において、それとは別でですね、そうした子供さんを預かるような、様々な取り組みが、あの、市町村の工夫の中でなされているというふうに承知をしております。(
青信号)」
福山議員:「大臣、学校の教室を借りるから、そこに学童が来るんですか。で、教師にそこを手伝ってもらうんですか。学校の授業やってるのと、どこが違うんですか
1段落目は質問内容を繰り返しているだけであり、
黄信号と判定。
2段落目は、福山議員の懸念に対して回答しているので
青信号としたが、その回答は「学校の空き教室を学童として使い、学校教員も学童を手伝わせる」というものだった。福山議員も指摘しているとおり、
これでは普段の学校と何が違うのか意味がわからない。