せっかくですから、
学習動画のスタートは、社会科(公民・政治経済)から始めましょう。
「誰が休校を決めたのだろう?」と、子どもに質問し、内閣や国会を解説する学習動画から見ていくのです。繰り返しますが、大人と子どもで一緒に見ましょう。
内閣や国会について学んだら、次に選挙や行政の学習動画を見ましょう。その次は、憲法や経済などと芋づる式につなげていきます。
体系のことはあまり気にせず、学習動画をきっかけに話題が広がったら、その話題に関連する学習動画を見ていきましょう。理科や国語、数学(算数)に広がってもいいでしょう。見残した動画があってもいいのです。まずは、興味と話題の広がるまま、次々と学習動画を見て、話をしていきましょう。
教科書を解説する学習動画に飽きてきたら、
大人と子どもで一緒に考える動画も見てみましょう。お勧めは「
NHK for School」です。NHKの教育番組のアーカイブで、無料提供されています。番組だけでなく、個別テーマの動画も豊富にあります。これらを見て、お菓子でも食べながら、一緒に話をするのです。教えるというよりも、子どもの考えや疑問を引き出すイメージをもつといいでしょう。個人的には『
昔話法廷』を気に入っています。
実は、
こうした学び方は、研究者の学習方法と同じです。研究者が論文を書いたり、報告をしたりするときは、最初に関心の近い本を一冊選び、読み始めます。次に、その本の参考文献や抱いた関心に基づき、次の一冊を選びます。そうやって、芋づる式に本を読んでいきます。そのとき、体系についてはあまり気にしません。
共通のテーマで意見交換するのも、研究者の学習方法と同じです。学会や研究会で、お馴染みです。とりわけ、大学でのゼミでは、学生の疑問や関心を引き出すことが大切になります。それによって、学生自身のモチベーションを高めて、自律的に学ぶことをサポートするのです。
学習動画でモチベーションを高めたら、新聞と本を渡そう
学習動画を見て各教科への理解が進んできたら、新聞を渡しましょう。
子どものうちに新聞を読む習慣を身につければ、大人になってから文章(説明文)を読むことが苦痛でなくなるでしょう。もちろん、文学(小説など)に親しむのもいいのですが、社会に出れば、文系理系に関係なく、ひたすら説明文とつき合わなければなりません。毎朝、新聞を読むようになれば、自ずと読解の正確さとスピードが上がります。
次に、
子どもが関心を抱いた分野の本を渡しましょう。図書館で一緒に借りてきてもいいでしょう。図鑑でも絵本でも構いません。それも、できれば大人と子どもで同じ本を読むといいでしょう。本を話題にして、子どもの疑問や関心をさらに引き出すのです。
仕事が忙しく、平日日中に子どもを一人にしなければならない場合も、
休日や夜に学習動画の視聴を一緒に少しするだけでも、効果は出るでしょう。
大切なことは、
大人と子どもで一緒に学び、意見交換する機会をつくることです。そして、
大人が今回の休校問題を機会に、学んでいる姿を子どもに示すことです。
休校問題では、
安倍首相のパニックぶりが露わになりましが、それを
反面教師にして、
子どもの学びを支えることが、大人に求められているのです。
<文/田中信一郎>