「桜を見る会」についてホテルニューオータニ支配人を直撃。安倍首相の答弁と矛盾するも、広報の見解は「答えられない」

続々と安倍首相を告発する動き

東京地検の告発状預かり証 

東京地検の告発状預かり証 

 筆者を含む47人は2019年11月20日、安倍首相を公選法違反、政治資金規正法違反で告発。ジャーナリストの斎藤貴男氏、講談師の神田香織氏らが告発人になっている。  告発状では、2017年4月15日に開催された前夜祭において、事前に、ホテルニューオータニに対して、参加者につき1人当たり約5000円の出席見込み数を乗じて得られた金額をその前日までに支払って支出したのに、2018年分の収支報告書に記載しなかったと指摘した。  また、同月14日に参加者から1人当たり約5000円を徴収して得られた金額の収入があったにもかかわらず同年分の収支報告書に記載せず、その収支報告書を2018年5月24日,山口県選挙管理委員会に提出したことを違法とした。  東京地検特捜部の担当検事は19年12月21日、告発グループの代理人、山下幸夫弁護士に告発状の修正を求めてきており、今年1月中旬に告発状の改定版を提出した。地検はまだ正式に告発を受理していない。  山下弁護士は「地検から告発状の内容について加筆、修正を求めてきたのは異例だと思う。真剣に検討していると思う。訂正版では、宴会の3か月前に契約をした時点で金額を確定していることを強調した」と話している。  上脇神戸学院大学教授らの学者グループも安倍首相を背任罪で告発している。また、弁護士・法学者グループが3月に公選法違反などで告発する予定だ。

ニューオータニの取締役も務める今井敬氏と安倍首相が会食

ニューオータニ玄関  ニューオータニは政府との関係が深い。ニューオータニは1995年のAPEC会議で、外務省の担当者の依頼に基づいて経費を1億円上乗せして請求し、差額を口座にプールした事件があり、政府関係の受注がない時期があった。外務省の担当者は懲戒免職になっている。  新聞各紙の「首相動静」によると、安倍首相は2019年11月11日夜、東京・銀座の日本料理店「東京吉兆」で経団連の今井敬、御手洗冨士夫両名誉会長ら財界人と会食。19日夜にも、東京・紀尾井町の日本製鉄紀尾井ビルディングにある「紀尾井倶楽部」で、日本製鉄の今井敬名誉会長、佐久間総一郎常任顧問らと会食している。今井敬氏は首相補佐官兼秘書官の今井尚哉氏の叔父で、現在、ニューオータニを運営する株式会社ホテルニューオータニの取締役である。   ニューオータニと安倍政権はかなり親密だ。広報責任者が「総論」しか回答しなかったのは、政権側からの圧力の表れだろう。与党議員から「もうANAホテルを使うのはやめよう」という声が上がり、ANAホテル役員が18日午後、自民党本部を訪問したこともわかった。  その後、ANAホテルの広報担当者が『時事通信』、『毎日新聞』、『共同通信』、TBSなどの取材に、「個別案件には答えられない」と回答するなど、これまでの毅然とした姿勢が揺らいでいる。  安倍首相の国会答弁が真実かどうかを明らかにするためには、ニューオータニ、ANAホテルの責任者、安倍後援会会計責任者らを国会に証人喚問するしかないのではないか。 <文/浅野健一(ジャーナリスト)>
あさのけんいち●ジャーナリスト、元同志社大学大学院教授
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会