ZARA上海
photo by Comunicacioninditex via Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
COVID-19禍、ファストファッション業界に影響
スペインのファッション産業はGDPの2.8%を担っている。中国を席捲しているCOVID-19(新型コロナウイルス)の影響を受けてスペインのファッション産業をリードしている大手ファストファッション企業は生産拠点を近隣諸国やトルコそしてモロッコなどに急遽移動させている。(参照:「
La Vanguardia」)
とはいえ、この生産拠点の移動はそんなに大変なことでもなかったようだ。というのも、数年前から中国以外に近隣諸国まで生産拠点を拡げていたということと、これまでの春夏シーズンと秋冬シーズンと2回のシーズンに分けていた生産が、最近はこの二つのシーズンの中間で比較的少ないロットで新しいモデルを随時生産して行くという傾向に変わって来ているからだ。
その意味で近隣諸国での生産がそれに応えてくれるのである。だから、一か所での生産に依存することが逆に災いとなっている。この様に傾向が変化して来ているので、中国から生産拠点を他国に移すというのは比較的容易なのである。
しかし、今年の春夏ものは既にどの企業でも入手して店舗に配送できる体制になっているものの、秋冬ものの生産の前の数週間ごとにモデルチェンジして行く商品の生産が困難になっているのは大きな問題だ。つまり、ZARAを含めインディテックスは、どの店舗でも1週間に店内の商品を2度変えることができるようにしており、これに倣ってH&MやPRIMARKでも同様に頻繁に店内の商品を変えているのだが、このやり方ができなくなるということなのだ。
インディテックス(Inditex)の場合は12か国で生産している。スペイン、ポルトガル、モロッコ、トルコ、インド、パキスタン、バングラデシュ、ベトナム、カンボジア、アルゼンチン、ブラジルそして中国となっている。勿論、この12か国の中で中国での生産が40%を少し超える量になっている。
2018年9月のスペイン経済紙『
Expansión 』によると、インディテックスは中国では1866か所で生産している。その次がトルコで1459か所、そしてポルトガルが1344か所となっている。中国の近隣諸国としてバングラデシュの場合は296か所での生産となっている。ということで、インディテックスでは中国での生産を近隣諸国やトルコそしてモロッコなどに移動させているということなのである。