昨年3月に倒産したWOWエアーの社長だったモゲンセンは、「航空会社は乗客から料金を取る代わりに、飛ぶための料金を乗客に支払う。その代わりに航空会社は乗客が座席を選ぶのに料金を徴収する。更に、乗客は事前予約料、機内での食事代、ホテル、レストラン、レンタカーその他旅行に関係したものなどと提携して乗客がその料金を支払う。それが航空チケットの代金を上回ったものになる」「航空チケットの料金は段々と安くなり、マイナス料金にまでなってしまう。だから乗客を獲得するためには航空会社が乗客を確保するための費用を負担するようになる」と語っていた。
正にこのような現象が起こる可能性がある。その意味で、ライアンエアーは率先してフライトに間接したサービスの面で料金を徴収するという手段を選んで乗客にコストの一部を負担をしてもらうというポリシーを選択したということだ。(参照:「
La Vanguardia」)
今年は英国のEUからの離脱が航空業界にも必ずマイナス影響を与えることになるが、その規模が全く未知数でそれに耐えるにも中小の航空会社では容易ではなくなる可能性がある。更にLCCにとって重大なのはボーイング社の737MAXがいつから安全に供給されるようになるのかという問題である。この機材は出来るだけ多くの乗客を低コストで運航させるという意味で貴重な機材であった。ライアンエアーはこの機材が当面は使用できないということで人員の削減も予定している。そしてコロナウイルスの問題もまた深刻だ。これで飛行機の利用率が世界的に大幅にダウンするのは必至である。
このような困難をこれからも抱えての運営に別れを告げるかのように、スペインではイベリアのライバルであったエール・ヨーロッパが昨年IAGに売却した。これも丁度良い時期に売却したとも言われている。エール・ヨーロッパの保有機材は40機、従業員3800名。国内とラテンアメリカで強い路線を持っているが、長期的に見ればIAGと競争して行くことが難しくなると見たようだ。そこで、現在まだ勢いのある内に売却した方が賢明と考えたようである。
この先4年以内にヨーロッパの航空業界は6つのグループが市場を占有するようになると予測されている。前述した5つのグループに加えてハンガリーのウイズエアーが6番目のグループとして加わると見られている。(参照:「
Aviacionline」)
<文/白石和幸>