タイ時間2月8日の夕方、筆者のタイ人妻から電話があり、「コラートが大変なことになっている」と言われた。妻は数日前に転倒してケガをした祖母を見舞うため、
通称コラート、正式名をナコンラチャシマー県と呼ばれる故郷に戻っていた。
バンコクの自宅で子どもたちと留守番をしていた筆者はネットでニュース検索したものの、ちょうどそのタイミングではまだどこも扱っていなかった。コラートだけでなく、タイ全土が長い1日を過ごすことになる事件の幕開けだった。妻は幸い違う場所にいたので、被害はなかったようだ。
事件概要は日本の報道にもあるが、改めて整理しておこう。
隣接するガソリンスタンドが銃撃あるいは爆弾で爆発した。この犯人によるSNS投稿の画像も、ニュースより早くに出回っていた
容疑者ジャクラパン・トンマ陸軍曹長(32歳)は8日午後4時ごろ、ナコンラチャシマー市内の住宅で上官の大佐と不動産売買の副業を巡ってトラブルとなり、大佐とその義母を射殺。すぐに市内の陸軍基地に戻ると、銃で兵士1人を殺害、2人にケガをさせ、自動小銃や散弾銃、銃弾約700発などを奪った。
犯人がネット投稿をしていたため、全国ニュースになる前にSNSでは顔と名前が出回っていた(picture via Facebook)
その後、容疑者は軍用車両で市内の商業施設「ターミナル21コラート」に向かい、施設の内外で自動小銃を乱射して買いもの客ら一般市民多数を死傷させる。そして、そのまま施設内に立てこもり、逃げ遅れた人々を殺害しながら歩き回った。翌日の9日朝、突入したタイ警察の特殊部隊に射殺される。
犯行現場となってしまった「ターミナル21コラート」
9日にはプラユット首相が現地を訪れている。また、夜にタイ警察が記者会見を開き、事件による
死者が容疑者を含めて30人、負傷者が58人に上ったと発表した。
8日夜から9日、そしてこの記事を執筆している10日はタイ中がこの話題で持ちきりになっている。1月には
凶悪な金行強盗の犯人が捕まったが
新型コロナウィルスの猛威でその話題は沈静化してしまった。今現在はこの事件で新型ウィルスのニュースが鳴りを潜めてしまった。
タイでもそれくらいショッキングな事件として見られている。8日9日に到着した日本人観光客から「タイではよくあることなんでしょう?」などと訊かれたが、
タイでも前代未聞の大事件である。