「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」は善意の悪法

行政が策定すべきネット・ゲーム依存対策法令は犯罪や不法行為に限るべき

 ネット・ゲームに依存することになった子どもが、犯罪や不法行為に巻き込まれるケースは、例えばネットを介して知り合った人からのストーカーや性的被害、匿名掲示板等への誹謗中傷、違法薬物の売買、特殊詐欺の勧誘などがあり、ゲームなら高額な課金などがある。こうした、明らかな犯罪や不法行為に巻き込まれた時に、警察がすぐに動ける法制度を整備することにある。名誉毀損記事の削除や発信者情報開示を求める法律はある程度整備してあるものの、現実には弁護士を依頼して積極的に動かなければ解決しない名誉毀損事件も多く、しかも海外にサーバーを置く匿名掲示板や、都内に悪徳業者に対して訴訟を起こすとなったら東京の裁判所で戦わなければならないケースも多いのです。  香川県は、ネットやゲームに依存してしまった子どもやその保護者を批判するような条例ではなく、悪徳業者や悪意のユーザーを処罰するための条例を策定すべきなのではないでしょうか。 <文/松本肇>
<Twitter ID:@matsuhaji> まつもとはじめ●教育ジャーナリスト&教育評論家。有限会社トライアルコーポレーション代表取締役。神奈川大学法学部卒。神奈川大学大学院博士前期課程修了(民事訴訟法)。放送大学教養学部の全7専攻・コースを卒業し名誉学生。独立行政法人大学改革支援・学位授与機構で学士(法学、社会科学、教育学)を授与される。 著書:『短大・専門学校卒ナースが簡単に看護大学卒になれる本』(エール出版社)、『中卒・中退・不登校 誰でもイキナリ大学生』『社会人大学院生のススメ』(オクムラ書店) 2008年、インターネット画像の著作権事件「スメルゲット事件」の本人訴訟原告で勝訴し、著作権法判例百選に掲載。 近年はバイキング(フジテレビ)、ワイドスクランブル・モーニングショー(テレビ朝日)、アベマプライム(アベマTV)などに教育問題の専門家として出演
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