障がい者福祉事業の倒産が過去20年で最多。かつては0件だった業界の変化
東京商工リサーチが1月30日、2019年の障がい者福祉事業の倒産状況を発表した。前年比30.4パーセント増の30件が倒産し、過去20年で最多となった。
本調査は、生活介護やグループホームなどの居住支援事業や雇用関連の就労支援事業を展開する企業の倒産を集計したものとなる。これまで過去最多の倒産は2017年と2018年の23件だったが、大幅に更新された。
倒産の原因として最も多いのが、販売不振の16件で全体の半数以上を占める。次いで多いのが放漫経営の6件。補助金を頼りにした事業所が倒産しているのではないかと東京商工リサーチは分析している。
小規模の事業所の方が倒産しやすい傾向にあり、2019年は負債額1億円未満の倒産が30件中25件となっている。従業員数で見ると5人未満の事業所の倒産が21件と負債額同様に小規模事業所の倒産であることが伺える。
あまり良くないニュースといえる障がい者福祉事業の倒産だが、2000年から2006年までは倒産は0件だった。2006年以降も2011年までは1件か0件で推移。2012年から微増するが、それでも2015年まで3件から6件の間に留まっている。
倒産数が2桁に突入するのは2016年以降で、この原因のひとつとして法改正があげられる。
発端になったのは、2006年4月に施行された「障害者自立支援法」。それまで障がい関連事業は資産を筆頭にいくつかの条件を満たして認可された社会福祉法人しか運営主体になれなかったが、この規制が緩和され、NPO法人なども参入できるようになった。
2013年4月には「障害者自立支援法」で指摘されていた問題点を改善したとする「障害者総合支援法」が施行。「障害者自立支援法」にはなかった目的・基本理念が明示されたほか、各種見直しが図られた。また倒産に関連する点としては民間企業の参入がより容易になったと見られている。
どんな法律にも功罪あるだろうが、倒産が生まれる背景のひとつとしてこのような法改正がある。2013年以降に倒産が増加していく原因として、この流れは見逃せないだろう。
倒産の理由は販売不振と放漫経営
かつては倒産0件が当たり前
1
2
ハッシュタグ