「男のために脱いでいるわけじゃない」。石川優実が語るヌード、フェミニズム映画の構想

石川優実さん 女性がヒールやパンプスやパンプスの着用を強制されることに反対する社会運動「#KuToo」を提唱する石川優実さん。#KuTooの発端になったツイートが投稿された昨年1月24日から早一年。石川さんにインタビューを実施した。第一弾では、#KuTooの広がりについて、第二弾では、法律の改正などについて話を聞いた。  海外メディアからも引き続き注目される石川さんだが、今後はどのような活動を予定しているのか。

男のために脱いでいるわけじゃない

 昨年、現代書館より書籍『#KuToo』を世に出した石川さんだが、また同社より刊行されたフェミニズム誌『シモーヌ』では巻頭グラビアでヌードになっている。自分の身体を見せる、ということについては自分がやりたいようにやる、という意識を持っているようだ。 「よく勘違いされるんですが、私は自分が脱いでいるということについて不平を言っているわけではなくて、フェミニズムは『エロ』を否定するものでもないとも思いますし、自分の体をどう扱うか、まずは自分に決定権があると思っています。  私が、自分の体が好きで、それを撮って載せているんです、と言っても、『いやいや、脱いでいたら男のためでしょ』とされてしまうんですよね。で、『お前じゃ抜けない』と言われて、『いや、抜けって言ってないんだけど』って。  脱いでいる女性へのバッシング、差別というのは、性犯罪の被害を受けた女性へのセカンドレイプ、それをしてしまう感覚と繋がっているように見えます。脱いでいるからと行ってバッシングを受ける理由にはなりませんよね。それなのに『脱いでいるくせに』と攻撃をしてくる。そういったものに対しての反抗心はありますね。少なくとも私は男のために脱いでいるわけじゃない、とも言いたいですね。なので私が脱ぎたいと思ったタイミングで、脱ぎたい形で、脱ぎたい媒体で、いうのをやっていきたいなと思っています。 石川優実さん 棺桶の中にヒールがあるという構成などは、写真家のインベカヲリ★さんのアイデアです。インべさんはとことん撮られる人のお話を聞いて、どういう人かということを考えて構成を作っていくスタイルを取っています。  で、私が自分のことを話して、私は葬儀の仕事をしていたという話と、グラビアでヌードになっていて、で、ヒールの強制に反対する運動をしている…。そして、ヌードには嘘がない、というのが自分の中にあって、私としては水着のグラビアよりもヌードのほうが楽しかった。ごまかしがきかない、私が私のままでいる、というものとしてヌードが好きだったので、ヌードでやりたいなという話もしました。そういった話をしたらあのコンセプトになりました」

物議を醸した単行本『#KuToo』の表紙

 書籍『#KuToo』での、カバー写真のコンセプトもなかなかインパクトが強い。石川さんが男性向けの革靴を履いて、その背後にヒールのついた靴を履いている男性が写っているものだ。 「書籍の編集を担当された現代書館の山田亜紀子さんと3人で相談していたんですが、そこで出たアイデアです。営業回りなどして、どっちが先に疲れるかと。ヒール履いているほうが疲れる、というのがわかるでしょうということで。おかしさがわかりやすいだろうと。これで、男女どっちが大変かということが伝わると思って。現代書館さんのツイッターはめっちゃ炎上していましたけどね(笑)「復讐かよ」と」
次のページ 
フェミニズムをテーマにした映画を撮りたい
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会