奇妙できな臭い関西生コンへの弾圧事件。労働問題なのにマル暴が前面に出ることの意味とは

関西生コン

提供:全日本建設運輸連帯労働組合

 述べ89人が逮捕され、武健一委員長、湯川裕司副委員長は2年続けて拘置所での年越しという事態になっている関西生コン(全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部)への弾圧事件。  本サイトを含めメディアでも報じられている事件だが、なぜここまで関西生コンが狙われているのか。マル暴までも捜査に加わり、まるで「反社会的勢力」のように労働組合とその運動が取り上げられる理由はなにか。全国コミュニティ・ユニオン連合会(JCUF・全国ユニオン)会長、東京管理職ユニオン執行委員長で「中高年社員があぶない」(小学館101新書)などの著書がある鈴木剛氏に話を聞いた。

ストライキやコンプライアンス活動への弾圧

 関西生コンの組合員に対する今回の一連の逮捕劇は、2018年7月に大和ハウス工業の子会社であるゼネコン・フジタによる倉庫建設工事をめぐり、湖東生コン協同組合から生コンクリートを購入するように申し入れたことが恐喝未遂とされたことに端を発する。このとき捜査に当たった滋賀県警の組織犯罪対策課は、協同組合に加入する業者の理事までをも逮捕した。さらには関西生コンの組合員によるコンプライアンス活動(法令順守を申し入れる活動)をもまた恐喝未遂としたのである。  また、セメント・生コン輸送の運賃引き上げを求めて近畿一帯で行われた2017年12月のストライキで、組合員が大阪府警に威力業務妨害容疑で逮捕されるなど、18件の逮捕事件が起こっている。京都府の加茂生コン事件では、継続して働いていた日雇いの運転手の正社員化を求めたことが強要未遂、恐喝未遂に当たるとして、組合役員、組合員ら5人、生コン業者団体の理事長ら2名が逮捕された。この事件では昨年12月に大阪府労働委員会が会社側の不当労働行為(団交を拒否したことなど)を認め、組合の勝利命令を下している。

捜査に乗り出すマル暴

 通常、労働組合は公安警察の担当だ。しかし今回の一連の事件では、京都・滋賀などでは暴力団を取り締まるマル暴(組織犯罪対策課)が捜査に当たっている。マル暴は、公安警察以上に労働三権についての基本的な遵法意識がない。  労働関係の事件でマル暴が前面に出てくるというのは「あまり聞いたことがない」と鈴木剛氏は言う。なぜ今回はマル暴が捜査に当たっているのか。 「『ワシらは公安と違って甘くないからな』という発言は滋賀県警のマル暴によるものですが、彼らはまた、捜査の時点で『本庁の指示』といった趣旨の発言をしています。要するに、一府県の警察本部の意思を超え、警察庁の意思が働いているのではと考えられます」  

生コン業界の労働者と中小企業を組織化

 なぜ執拗に関西生コンが狙われたのか。80年代には「関西生コン型の運動には箱根の山を越えさせない」と日経連会長などを務めた大槻文平氏に言わせたともされる関西生コンだが、この労組がなぜここまで警察に狙われることになったのだろうか。 「事件を見る上で抑えておいたほうが良い視点として、関西生コンが持つ独特といえば独特の性格があります。日本で一般的な企業別の組合とはかなり形が違っていて、ヨーロッパ型の労働組合として、スト権を背景に、生コン業界の労働者を企業の枠をこえて横断的に組織すると同時に、また労働者だけでなく、中小業者の協同組合への組織化を促進し、提携しています。  この労働運動で特徴的なのは生コンの価格決定権の問題です。ゼネコンや大手セメントメーカーから価格決定権を取り戻すことに成功しているので、労働者の所得も保証されますし、中小業者の経営も安定することになる。実際、関西生コン型の運動が成立している大阪府は、生コン価格が日本一高く(1リューベあたり1万8000円前後、東京や名古屋は1万2000円前後)、これは運動の成果といってよいでしょう。関西生コンが作り上げたこの構図を崩したい、というのが事件の背景にあるのでしょう」(鈴木氏)
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