「差別、セクハラお断り」 DJユニット・WAIFU(ワイフ)が作るクラブカルチャーの未来とは

ジェンダー、セクシュアリティ、人種、年齢にかかわらず楽しめるイベント

イベントの様子 音楽に合わせて体を揺らしながら、お酒を楽しむ。クラブは本来誰もが安心して楽しめる場所のはずだが、そうなっていない現状がある。LGBTQが排除されたり、女性のDJや参加者がセクハラに遭ったり……。  そうしたなか、LGBTQの居場所を作り、人種や性別、年齢などにかかわらず楽しめるオープンなクラブイベントをオーガナイズするのが、「WAIFU(ワイフ)」というユニットだ。  通常のクラブイベントとは違い、女性を軽視したり、LGBTQを差別したりする参加者には退場してもらうという独自のルールを設けている。  筆者は昨年12月30日に原宿のサンキースペントハウスで開催されたイベントに足を運んだ。

多様な人が安心して楽しめる場を作る必要がある

会場に貼られたポスター

会場に貼られたポスター

 会場には、「フェミニズムはみんなのもの」「トランスジェンダー差別、人種差別禁止」といったポスターが貼られていた。参加者の多様性を尊重し、誰もが居心地の良さを感じる場にするために行っているという。
ローレン・ローズ・コーカーさん

ローレン・ローズ・コーカーさん

 同団体の主宰者の一人であるLauren Rose Kocher(ローレン・ローズ・コーカー)さんは「LGBTQというだけで社会的マイノリティと見なし、差別するのはおかしいと思う。もっと同じ人間同士、オープンな心持ちで、他人と寄り添う気持ちを持って、多様な人が安心して楽しめる場(セーファースペース)を創っていく必要がある」と話す。
タニムラリサさん

タニムラリサさん

 また、WAIFUの立ち上げに参画したタニムラリサ氏は、昨年12月に渋谷で行われた「MUTEK.JP」でのトークセッションでこう述べていた。 「WAIFUの立ち上げに参画したのは、クラブがもっと安全な場所として認知される世の中になるべきだと思ったから。ある日、クラブの中で女性が痴漢の被害にあうのを目撃したが、セキュリティが『現場を見ていない』という理由で加害者を見逃しており、唖然とした。  これが電車であれば、警察が来てすぐに逮捕されるはずなのに、クラブではなぜできないのか。もっと言えば、セキュリティの問題というよりも、クラブに来る人同士がお互いを尊重し合うような雰囲気を醸成し、自発的にセーファースペースを作っていくべきだと思った」  この件があって以来、アンチハラスメントを掲げるステートメント(声明)を、クラブの目立つ所に貼り、性犯罪やトラブルが起こらないように呼びかけることにしたという。 「クラブでの痴漢は仕方ないでは済まされないと思う。WAIFUは女性が安全に楽しめ、安心してお酒や音楽を堪能できる空間を提供しているパーティー。今までのクラブイベントとは、一線を画す取り組みなので共感している」(タニムラ氏)
次のページ 
フェミニズムを支持する女性がもっと声を上げるべき
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会