<撮影/菊竹規>
『月刊日本』が「安倍政権総辞職を強く求める」巻頭記事掲載
昨年末、安倍総理は「桜を見る会」の「私物化」批判から逃げるように臨時国会を閉じた。
ところが、招待者名簿廃棄をめぐり、廃棄簿への記載がなかったことに加え、廃棄に必要な首相の事前同意も得ていなかったこと、さらに「行政文書ファイル管理簿」への記載もしていなかったことが明らかになった。明らかな公文書管理法違反であり、憲法が保障する国民の知る権利の侵害だ。
「国家の私物化」と「嘘と誤魔化し」というこの政権の体質が、改めて露呈している。長期政権が生んだ奢りと緩みが極まっているのだ。
大企業やグローバル企業の意向に沿った経済政策を続ける安倍政権は、昨年10月には消費増税を強行した。その結果、格差がさらに拡大し、庶民の生活は一層苦しくなりつつある。カジノを巡る汚職事件が拡大しているにもかかわらず、安倍政権は国民に対する説明責任を果たさないまま、成長戦略としてカジノを推進しようとしている。
一方、わが国は「内向きのアメリカ」と「台頭する中国」の間で、難しい舵取りを迫られている。ところが、安倍政権はアメリカ一辺倒の外交から脱却できないでいる。日米貿易協定では大きな譲歩を余儀なくされ、トランプ大統領の顔色を伺って中東への自衛隊派遣を決めた。アメリカ追随から脱し新たな外交路線へ転換することが求められている。
こうした状況の中、『
月刊日本 2020年2月号』は、普段の大特集とは別に、巻頭に「安倍政権総辞職を強く求める」と題した記事を掲載。
同記事から自民党元幹事長の石破茂氏へのインタビューを転載、紹介したい。
── トランプ政権は、1月3日にイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害しました。
石破茂氏(以下、石破): トランプ大統領を支持するキリスト教福音派などは、反イラン、親イスラエルの立場を鮮明にしているようです。こうした中で、トランプ大統領は大統領選挙をにらみ、どのような行動をとれば国民の支持を得られるかということを優先しているようにも見えます。
自民党の外交部会・国防部会合同会議でも発言したことですが、わが国が国連中心主義を掲げる以上、
今回のトランプ政権の行動も国連との関係で精査する必要があります。
アメリカは、ソレイマニ司令官殺害を、国連憲章第51条に基づく自衛措置だとして正当化しています。自衛権を行使した国は速やかに安保理に報告する義務があり、日本は、それをアメリカに要求すべきではないかと発言したところ、その後アメリカは国連に報告したようです。
一方、イランはソレイマニ司令官殺害に対する報復として、1月8日にイラクの米軍基地をミサイル攻撃しました。イランもまた、51条に基づく自衛行為だと主張し、イランのラバンチ国連大使は同日中に安保理に書簡を送っています。
日本はインド洋に補給艦を派遣した時にも、イラクに復興支援部隊を派遣した時にも、国連決議を非常に大事にしてきました。我々は、自衛隊の行動を正当化するためには、国連の関与が重要だという立場をとってきたのです。今回のアメリカの行動も、国連との関係で評価すべきです。
── そもそも、イランとの緊張が高まったのは、トランプ政権が一方的に核合意から離脱したからです。
石破:安倍総理がイランを訪問していた昨年6月13日、ホルムズ海峡近くのオマーン湾で、日本の海運会社が運航するタンカー「KOKUKA Courageous」が吸着式の爆弾を仕掛けられて被害を受けました。その結果、アメリカはホルムズ海峡などでのタンカー護衛に向けた有志連合の結成を呼び掛けることになりました。日本の参加が検討され、その時も自民党の外交部会・国防部会合同会議が開かれました。そこでは私は、そもそもこのような事態に至った発端は、アメリカが核合意から離脱したことではないかと指摘しました。日本とアメリカが信頼し合える同盟国だというならば、日本はそのことをまずアメリカに問い質す必要があります。アメリカから説明を受け、それに得心した上で、護衛艦を出すかどうかを判断すべきだと主張しました。