田村智子議員「桜」質疑はどう組み立てられたか?ーーしんぶん赤旗日曜版・山本豊彦編集長との対談を振り返って(第1回)

Part1:データから近年の「桜を見る会」の変質を指摘

   では、具体的に順に質疑を見ていこう。パートPart1では田村議員は、政府が提供したデータをもとに質疑を行う。その前に 「安倍内閣のモラルハザードが問われていますが、私は総理自身の問題を質問いたします」 と、テーマが明確にされていることにも注目したい。  田村議員はまず、「桜を見る会」の支出(予算および支出額)と参加者数の推移をパネルで示し、なぜこんなに参加者と支出額を増やしてきたのかと問うた。
桜を見る会の支出(予算、実績)と参加者数

桜を見る会の支出(予算、実績)と参加者数(出典:日本共産党

 これに対し、大塚幸寛内閣府大臣官房長は、「テロ対策の強化」などと答弁。さらに招待客が増えている理由としては、「各界において功績・功労のあった方々」を「各省庁からの意見等を踏まえ幅広く招待」しており、「そうした結果」として招待者・参加者が増えていると答弁。  この答弁を受けると、田村議員は支出内訳のパネルを提示。飲食物提供に一番経費がかかっていることを指摘したうえで、一人ひとりの招待者に送る案内状の支出も2.5倍に増えていることに注目を促した。
桜を見る会の支出(内訳)の推移(千円)

桜を見る会の支出(内訳)の推移(千円)(出典:共産党

 そのうえで、内閣官房内閣府が発出した開催要領をパネルで提示。皇族や各国大使、議会関係や地方議会関係、行政関係、この辺りは2000人くらいでほぼ固定的だという内閣府の説明を紹介し、増えたのは最後の「その他各界の代表者等」だろうとの見方を示したうえで、「その『等』を含めて、これはどういう方々で、一体どうやって招待する人を決めるんですか」と問うた。
開催要項

桜を見る会開催要項(出典:日本共産党

 すると、大塚官房長は「何か特定の分野ですとかカテゴリーを想定しているものではございません」と答弁するに至った。  こうやって「建前」を答弁させたあとで、「しんぶん赤旗」日曜版が集めた証拠・証言をもとにした質疑に踏み込んでいった

Part2:国会議員のブログから後援会関係者の大量招待を指摘

 Part2でまず紹介されたのは、議員がブログなどネットで公開している内容だ。これは、「しんぶん赤旗」日曜版の昨年10月13日のスクープで取り上げられたものであり、日曜版の若手記者らがネット検索で集めたものだった。  稲田朋美議員の「日々の活動報告」(2014年4月12日)には、「地元福井の後援会の皆様も多数お越しくださり、大変思い出深い会になりました」との記載。世耕弘成議員の後援会ニュース(2016年新年号)には、桜を見る会にて、地元女性支援グループの皆さんと、との写真。松本純衆院議員の「国会奮戦記」(2013年4月20日)には、「役職ごとに案内状が割り当てられます」「選挙のウグイス嬢の皆様を始め後援会の皆様と参加いたしました」との記載。萩生田光一文部科学大臣の「はぎうだ光一の永田町見聞録」(2014年4月18日:当時は自民党総裁特別補佐)には「今年は平素ご面倒をかけている常任幹事会の皆様をご夫婦でお招きしました」との記載。
「はぎうだ光一の永田町見聞録」より

「はぎうだ光一の永田町見聞録」より(出典:日本共産党

 これらを紹介したうえで、田村議員は萩生田大臣に、「『常任幹事会の皆様』とはどういう方で、どの府省が推薦したのか」と問うた。  萩生田大臣は「桜を見る会については、各界において功績・功労のある方々を各省庁からの意見等を踏まえ幅広く招待しているものと承知しており」と、用意された答弁書を棒読み。田村議員が「いやいやいやいや…」とのけぞる様子を見せ、蓮舫議員ら野党の理事たちが委員長席に詰め寄って速記が止まったあとにも、 「自分の知り合いの方をのべつ幕なし呼べるという仕組みになっておりません」 と、さも知り合いを呼べる仕組みはないかのような答弁を続けた。しかし、「常任幹事」とはどういう方かという質疑だとの野党側からの指摘を受けて、 「常任幹事の中に(笑)、そういう各種団体の長の方がいらっしゃって、その方たちがお招きをされたと承知をしております。まあ私が主催者じゃないのに何かお招きしたというのはちょっと僣越な言い回しだなと思います」 と答弁。「常任幹事の中に」と語るところでは、「何を難癖をつけているんだ」と言わんばかりの笑いを交えた。  このように、あえて馬鹿にするような笑いを答弁に交えることは、安倍首相にも大臣たちにも、しばしばみられる光景だ。そして、常任幹事だから呼ばれたのではなく、たまたま各種団体の長を兼ねていたから招待されたものであるかのような答弁を行った。  実際にはその後、野党の追及を受けて11月20日に菅官房長官が首相枠や与党議員枠の存在を認めることとなる。したがって萩生田大臣についても常任幹事の方を実際に「お招き」したものだったことが明らかになるのだが、そのような招待を否定するような答弁をこの時点で引き出しておいたことには意味がある。「こんなふうに言い逃れをするのだな」ということが、見ている私たちにわかるからだ。  田村議員は常任幹事とは後援会の常任幹事であることを萩生田大臣に認めさせたうえで、 「総理、つまり、自民党の閣僚や議員の皆さんは、後援会、支援者の招待枠、これ自民党の中で割り振っているということじゃないんですか。これ、総理でなきゃ答えられない。総理、お答えください。総理でなきゃ答えられない、総理でなきゃ答えられないですよ」 と、官僚に答弁させるのではなく、安倍首相自身の答弁を迫った。安倍首相は、 「桜を見る会については、各界において功績・功労のあった方々を各省庁からの意見等を踏まえ幅広く招待をしております。招待者については、内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめをしているものと承知をしております。私は、主催者としての挨拶や招待者の接遇は行うのでありますが、招待者の取りまとめ等には関与していないわけであります」 と、あたかも自分は招待者の人選には関与していないかのように答弁した。  これもやはり、このように言質を取っておいたことには意味がある。その後の野党の追及により、11月20日の参議院本会議では安倍首相は 「私自身も事務所から相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともあった」 と、推薦プロセスへの関与を認めることになるからだ。 「招待者等の取りまとめ等」には関与していないと答弁しておきながら、「推薦者について意見を言うことあった」と後で説明を変える。そして、最初の説明も虚偽答弁ではないと言い張る。国会で政府側がいかに不誠実な答弁を繰り返しているかが、こうやってわかりやすく可視化されていったのが、「桜を見る会」問題の特徴だと言える。
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「言い訳」を並べ立てる安倍総理
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 第2回は昨年11月8日の質疑に生かされた昨年10月13日のスクープが、どのような問題意識のもとに、どうやって調査・取材されたのかを振り返る。毎年の「桜を見る会」を取材していた大手メディアではないからこそ、問いが立ったという点に注目す、第3回は、昨年10月13日の「しんぶん赤旗」日曜版のスクープに他紙が追随せず、田村議員の昨年11月8日の質疑に対しても当初、大手メディアの注目が遅れたのはなぜかという、既存メディアの問題を考察する。近日公開予定
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