昨年10月に関東甲信越・東北地方を襲った台風19号により、阿武隈川・千曲川など各地で河川の氾濫・決壊が相次いだ。
山梨県内各地域にも特別警報が出されるなか、甲斐(山梨県)の戦国大名・武田信玄が築いた「信玄堤」のある甲府盆地西部の釜無川流域は警報が出ず、大きな被害を免れた。
河川工学者の今本博健・京都大学名誉教授はこう語る。
「信玄の治水方法は、堤に切れ目を造って遊水池に流れを逃がす、川の流れを岩にぶつけて弱める、土手に桜を植えて水防林とするなど、ダムなどのコンクリートでせき止める現代の発想とは正反対。このような治水の思想が、今年はさらに注目を浴びるでしょう」
米グーグルの量子コンピューターと同社のピチャイ最高経営責任者 提供:Google
「次世代コンピュータ」と呼ばれる量子コンピュータに注目が集まっている。Googleは’19年10月、従来のスーパーコンピュータで約1万年かかる計算を同社の量子コンピュータはわずか3分20秒で解いたと発表。この超高性能の量子コンピュータは、いつ実用化するのか? 量子アナリストのザイナス社・畔上文昭氏はこう語る。
「量子コンピュータは今まで学術者レベルでしか扱えませんでしたが、’19年には一般のIT企業でも実証実験が行えるようになりました。量子コンピュータをAI技術の進化と組み合わせれば、将来的には例えば医療や遺伝子解析など多くの分野で新たなテクノロジーが生まれ、関連ビジネスも増えるでしょう」
大きな可能性を感じるが、現在はまだ実証実験の段階。「今のところは“夢のコンピュータ”でしかない。実現しないかもしれないし、実現すれば大きな進歩となる」と畔上氏は語る。
今年はさらにIBMの量子コンピュータが日本IBMと東京大学に1台ずつ導入される予定で、これは日本初となる。量子コンピュータの今後に注目だ。
<取材・文/週刊SPA!編集部>