――ただ、桜問題が注目を浴びても、立憲民主の支持率は伸びていない。
枝野:それも間違いです。常に世論調査の結果を分析している専門家の計算では桜問題以降、我々の党の支持率は平均1ポイント近く伸びています。顕著な上がり方ではありませんが、それは当然のこと。選挙になって初めて、大多数を占める無党派層が支持政党を決めるようになり、各党の支持率が大きく上昇するからです。だから、選挙の際にいかに無党派層から選ばれるかが重要。その点、私は手応えを感じています。大宮の駅頭に27年間立っていますが、
町の反応が「次こそ野党、頑張れよ」となってきています。
――支持が広がっていると感じられるようになった背景とは?
枝野:それは共同会派の成果でしょう。基本的に国会は会派主義です。会派ごとに質疑の時間が配分されるため、以前は各会派がバラバラのテーマで、時に重複した質問をするようなこともありました。しかし、
共同会派を結成してからは、テーマを絞り込んで追及することができました。桜問題の火つけ役は
共産党でしたが、共同会派という形で窓口を1つにすることで、共産党との情報交換もスムーズになり、役割分担も明確になった。議員が多い我々の党は安倍首相の地元である山口まで行って聞き取り調査を行い、共産党は新たな事実の調査に注力してもらうという具合です。
――その共同会派の延長線上で、12月6日には野党合流を呼びかけた。立憲民主党が各党を吸収するのか?
枝野:そこにも誤解があるのですが、
私は一度も「合流」という言葉を使っていません。あくまで立憲民主党と共に戦っていくよう呼びかけた。党が1つになることも含めて、もっと連携を強化していきましょうと。
――立憲民主の資金が枯渇してきたから、潤沢な資金を擁する国民民主との合流を求めたとの報道もあるが。
枝野:それは関係ないですね。別に各党が存続してもいいし、私は立憲民主単体でやっていくことも念頭に置いています。ただ、
国会でしっかりと行政監視の力を働かせ、選挙に勝っていくことを考えると、党を1つにしたほうがいいのは事実。
――仮に、合流が実現したとして、旧民主党との違いは?
枝野:当然、旧民主党を知らない議員も多くいます。しかし、
最大の違いは経験値です。経験がないのに、いきなり官僚組織や国家は動かせない。’09年の政権交代で私はそれを痛感しました。安倍首相だってそうじゃないですか? 第1次政権では閣僚の不祥事・失言が相次いで支持率が急降下して、最後は政権を放り出してしまった。その経験があったから、第2次政権は、いかに権力を維持するかという点についてだけ言えば、見違えるようになりました。
――次期総選挙では何を訴える?
枝野:現在の
日本の格差社会は徹底的に是正しなくてはなりません。
安倍政権下での消費増税で個人の負担が増えた一方で、大企業は内部留保をため込んでいます。富の偏在が顕著になってしまったので、豊かさを公平に分かち合う政策が必須。
――立憲民主には「消費税ゼロ」を訴える議員もいるが、枝野代表は?
枝野:少なくとも8%から10%に引き上げたことは間違いであるということを前提に、
私が総理になったら増税の議論はしないと約束します。実際に引き下げるかどうかは、その先の議論でしょう。
来るべき総選挙に向けて臨戦態勢にあることを強調する枝野代表。新年早々の“桜解散”はあり得るのか? ’20年は一波乱ありそうだ。