菅原一秀前経産相、本人不在で秘書らが年始の駅頭挨拶。記者を見るや否や、自民党の幟をほったらかして一斉逃亡

菅原一秀元経産相

菅原一秀元経産相

2020年、年始の珍事

 多くの人々が仕事初めを迎えた1月6日。例年、出勤する有権者に向けて朝一番の駅頭演説を行なう政治家たちの姿があちこちで見られる。菅原一秀・前経産相も6日には再び駅頭を始めるつもりのようだとの情報が鈴木エイト氏のもとに入った。  週刊文春によって有権者買収問題を報道された菅原氏は、「明日国会で説明する」と報道陣に言い放ったまま辞任。体調不良を理由に国会を欠席して、いまだに「説明」を行なっていない。この間、ほぼ毎日続けてきたことが自慢の駅頭演説も中断していた。その菅原氏が再び駅頭に立つのなら、何を語るのかぜひ聞きたい。統一教会との関わりや、記者たちに対する虚偽告訴問題(参照:「建造物侵入罪」濫用で狭められる報道の自由)についても尋ねたい。  朝から練馬区内の鉄道駅前を探してみた。すると大江戸線・光が丘駅前の路上で「自民党」ののぼりを立てて「おはようございます!」と通行人に頭を下げる男たちの姿を発見。菅原氏の公設秘書を含むスタッフたちだ。  しかし菅原氏の姿はない。そして秘書たちは記者たち(私とジャーナリストの鈴木エイト氏)の姿を見ると、車に乗って一目散に立ち去ってしまった。「自民党」と書かれたのぼり5本が路上に置き去られたまま……。  放置されたのぼりの運命やいかに!?
放置された幟と戯れる記者

放置された幟と戯れる記者

菅原さん、出て来づらくなっちゃう?

 6日の朝7時。菅原氏の姿を探して練馬区内の鉄道駅をハシゴしていると、ある駅で菅原氏とは別の党所属の地方議員の姿があった。菅原さんを見ませんでしたか?と声をかけると、地方議員はこう語った。 「さすがに今日は菅原さんも出てくるんじゃないですか。(年明け最初の駅頭演説のタイミングである)今日出てこないと、その後出て来づらくなっちゃいますよ」  なるほど。演説する側にはそういう心理もはたらくのか。ならばなおのこと、菅原氏が練馬区内のどこかの駅前に立つ可能性は高そうだ。  そして冒頭に書いた通り、光が丘駅前で菅原氏のスタッフらを発見。3~4人が菅原氏の顔のイラストをプリントしたスタッフジャンパーを着て、通行人に「おはようございます!」と挨拶している。中には公設秘書の姿まであった。
通行人に挨拶をする菅原事務所スタッフ

通行人に挨拶をする菅原事務所スタッフ

 しかし演説はしておらず、菅原氏本人の姿は見えない。「自民党」と書かれたのぼりが5本、路上のあちこちに立てられているが、「菅原一秀」の文字はどこにもない。
記者たちを撮影する菅原氏スタッフ

記者たちを撮影する菅原氏スタッフ

 菅原氏の姿を探す記者たちを見ると、公設秘書が携帯電話を取り出しメールを打ち始めた。別のスタッフは記者たちを撮影し始める。ほどなく、公設秘書も含めスタッフたち全員が、駅の入り口へと消えていった。後をついていくと、彼らは人混みの中でスタッフジャンパーを脱いだ。公設秘書はまだ携帯電話で誰かと話している。
スタッフジャンパーを脱ぎ駅構内に逃げ込んだ秘書たち

スタッフジャンパーを脱ぎ駅構内に逃げ込んだ秘書たち

「まだ上に入ると思います」(スタッフ)  電話でそう報告している公設秘書。そのすぐ背後に記者たちが立っていることに気づくと、 「あ……」  今日は菅原さんはいないんですか? どうして逃げるんですか? などと記者たちが尋ねても、一切返事をしない。秘書らは再び駅の改札方面に向かって歩き出し、途中から全力疾走でさっきとは別の出口から駅の外に出て車に乗り込み走り去って行った。  文字通り秘書たち全員が、だ。  先ほどまで秘書たちが「おはようございま~す!」とやっていた場所に戻ってみた。よく晴れた冬の寒空の下、「自民党」と書かれた5本ののぼりが置き去られていた。木枯らしが駅前の階段を転げ落ちて来る。  寂しそうな菅原一秀氏の顔が脳裏に浮かび、さだまさしの「案山子」が聴こえてきたような気がした。
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取り残された自民党の幟の運命やいかに?
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