「建造物侵入罪」濫用で狭められる報道の自由

菅原一秀衆議院議員

菅原一秀衆議院議員

国会議員事務所が取材逃れのために刑事告訴

 取材の問い合わせを無視する国会議員に取材を申し入れるため、ジャーナリストが事務所を訪問。秘書から「上の者に確認するので待って下さい」とソファに通され待っていたら、110番通報され警察官が押しかけてくる。さらに「建造物侵入」だと言われ刑事告訴までされる--。  どこに犯罪の要素があるのか全く理解できないが、つい先日、実際に起こったことだ。  告訴されたのは、私と鈴木エイト氏。ともに、「やや日刊カルト新聞」でカルト問題を取材しているジャーナリストだ。告訴したのは、菅原一秀衆議院議員(自民党=東京9区)の事務所である。  事の経緯はこうだ。  2017年、菅原議員が統一教会系の改憲集会に参加したとの情報や、菅原議員の運動員に統一教会信者が動員されているとの情報があり、翌2018年から鈴木エイトが取材を試みていた。その中で鈴木氏は今年5月、菅原議員と運動員が街頭で、カードサイズのカレンダー付きチラシを配布しているのを目撃。Twitterで公職選挙法違反の可能性を指摘した。  すると6月に入って、鈴木氏のこの投稿が「プライバシー侵害」にあたるとして、Twitterアカウントがロックされた。鈴木氏の異議申し立てを受けTwitter社は翌日にはロックを解除したが、菅原議員サイドがTwitter社に通報した可能性があったことから、鈴木氏は公職選挙法違反疑惑の件と併せて菅原議員の事務所に取材を申し入れる。ところが菅原議員側は秘書が「折り返し連絡する」と言ったまま音沙汰なし。鈴木氏が電話をかけても居留守を使って無視するようになった。  そこで6月19日、私と鈴木氏の2人で、練馬区内にある菅原議員の地元事務所に赴いた結果が、冒頭で紹介した通りの騒ぎになった。  もちろん我々は取材を申し入れただけで、一度たりとも声を荒げる場面すらなかったし、事務所側から退去を求められたのは110番通報を受けて警察が到着した後のこと。退去を求められてからは速やかに退去している。  これを犯罪とされてしまっては、公人に対して自由に取材することなどできなくなってしまう。

2年間で3度目の「建造物侵入」案件

 鈴木氏はこれが初めてだが、私自身はここのところ「建造物侵入罪」に問われるケースが続いており、今回で3件目になる。  1件目は2018年1月のこと。東京・西日暮里にある幸福の科学施設「初転法輪記念館」という一般公開施設に立ち入ったことについて、幸福の科学が警察に被害届を提出。建造物侵入罪とされ起訴され、現在、東京地裁で公判前整理手続が行われている。  幸福の科学の施設は、教団自身が「どなたでもご利用いただける宗教施設」として、非信者に対しても開放している。実際、初転法輪記念館も建物の1階の外壁に「ご参拝の方は4階にお上がり下さい」との看板があり、受付はなく、4階入り口は無人で誰でも自由に入ることができる状態だ。
精舎へ行こう

幸福の科学のウェブサイト「精舎へ行こう」より

 しかし私の場合、2012年に『週刊新潮』で幸福の科学学園について批判的なルポを執筆して以来、幸福の科学広報局から「教団施設やイベントへの立入禁止」を通告されていた。そのため、施設管理者の意思に反した立ち入りであるとして、建造物侵入罪に問われている。  この裁判が始まった後の2018年10月、2件目の「事件」が起こる。幸福の科学が大学としての認可を得ないまま開設した宗教施設「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)」で行われていたHSU祭に、私が立ち入ったことが建造物侵入罪にあたるとして、その場から地元の茂原署に連行され取り調べを受けた。警察は書類送検するとしているが、まだ送検されたという連絡はない。  このHSU祭も、非信者も入場できる一般開放の催しだった。
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事実を報道させないための立入禁止通告
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