自治体直営の山村留学センター所長が入寮児童と保護者にレリハラ/不適切宗教勧誘か
地方自治体による山村留学事業において、施設の責任者が入寮中の女子児童とその母親に対し不適切な宗教勧誘を行っていたことが判った。
山村留学事業とは都市部の小中学生を農村や漁村など主に過疎地の公立学校で受け入れる地方自治体の事業。問題が発覚したのは山口県岩国市。同市へ山村留学する児童・生徒は自治体が運営する寮『本郷山村留学センター』で指導員と生活し地元の公立学校に通う。同センターでは本郷小学校に通う小学生の男女児童を受け入れているが、本郷中学校へ進む中学生については男子のみ継続入寮可能で女子児童は中学進学後には入寮できない。
今年春から小学生の娘をセンターに預け、中学進学後も継続入寮を希望していた母親が岩国市職員である施設責任者から受けた”交換条件”による宗教勧誘の被害を告発した。
岩国市の山村留学事業では主に都市部から転校した小中学生が緑豊かな山村で留学生活を送っている。保護者が市に支払う委託費は小学生が月46,200円、中学生は月に51,400円となっている。一年ごとの更新で継続利用も可能。山村留学の背景にはいじめや不登校などの問題も指摘されているが、今回宗教勧誘の被害に遭ったのは親の仕事の事情で山村留学を選択した小学校高学年の女子児童とその母親だ。
娘の小学校卒業後も継続して中学校卒業までのセンター入寮を希望する母親は、施設の責任者である60代の男性所長に今年春から相談していた。この責任者はセンター開設後32年間、市の職員として所長を務め、数年前に定年となって以降も年度契約で準公務員として再任用されている。
6月上旬、センターを訪れた母親は事務室で所長から思いがけない提案を受ける。娘を中学3年間自宅に下宿させること、つまり里親となる交換条件として自身が教会長を務める天理教への母娘の入信と中学卒業後に娘を天理高校へ進学させると約束することを持ちかけられたというのだ。
センターに入寮中の女子児童は中学生になっても里親を見つけることができれば継続してセンターを利用することは可能だが、寮として宿泊はできない。地域には高齢者が多く、里親となる世代の民家自体がないため、これまでセンターに通う女子中学生の里親をしてきたのはこの所長のみだ。
以下は母親の記憶を基に再現したセンター事務室(管理室)内でのやり取り。
母親「所長、女子中学生の受け入れ、何とかなりませんか。いろいろ問い合わせしているのですが、なかなかうまくいきません」
所長「うちで預かってもいいんだけど、決めていることがあるからねぇ。天理高校に行く子だけ預かることにしてるから。じゃあ、○○子(娘の名)、天理高校に行ってくれる?僕は教会長なんだけど。天理高校は天理教の信者じゃないと受けられないんだよね。決まりがあるからね。今度、そういうの(別席)があるから、4人(所長夫妻、母娘)で行きましょう。おやさまという方がいるんだけどね、どういう教えでどうして大事なのか」
思いがけない提案に面食らった母親は思考停止状態になり固まってしまったという。脈があると思ったのか所長はその後、30分以上天理教についてブリーフィングを続けた。明確な返答ができないまま施設を後にした母親だったが、その後、友人にこの交換条件の提示について話したところ「それはおかしい」と指摘され、立場を利用した宗教勧誘であるレリジャスハラスメント/religious harassment(レリハラ)の被害に遭ったことに気付く。
山村留学事業における宗教勧誘被害
提示された”交換条件”
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