所長の弁明への母親の反論、そして三浦課長の回答にあった10月23日の母親からの電話の内容について所長に再確認した。
2019年12月20日朝、電話に出た所長は開口一番、迷惑そうな口ぶり。
「この前話した通りで他に話をすることはないんですが」
――岩国市の担当者に10月23日の母親からの電話の内容を報告したか
「覚えてません」「知りません」
―「先方から天理高校への進学希望があった」と報告したのか
「希望があったんじゃないでしょ、もしうちに残りたいならうちの嫁さんと相談して天理高校へ行くならば考えましょう、話ししましょうと言っただけ」
――三浦課長への報告については
「それは私はよくわかりません」
――6月に天理高校への進学の話を持ちかけた場所について「寮の中ではない」と答えていたが
「よく覚えてない、車の中じゃないかなと思うんだけど」
――「母親の入信が必要」と言ったことについて
「そんなことは聞いてないですよ、なんで親に電話せにゃいけんのですか、もう話すことはありません、切りまぁ~す」
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後日、改めて質問書を送るとFAXで回答があった。
市の担当者に報告したという10月23日の母親からの電話の内容については、こう記載されている。
「天理高校へ進ませたいとの意見をいただきましたのでその方法等をお伝えしてあります」
母親へ入信を持ちかけたことは改めて否定。
「天理高校を受験するのであればという仮定のもとにその方法を示したものであり入信を進めた(原文ママ)ことはありません」「子供の受験と親の信仰宗教は関係ありません。したがって、そのようなことを言うつもりはありません」
母親が言われていないと指摘する「入信するかしないかはご自由です」との発言の有無についても完全否定。
「もちろん、信仰するかしないかは自由ですし、そもそも入信の手続きがありませんから、それを進める(原文ママ)事もしていません」
そして「預かる以上は天理高校を目指してやってもらいます」と発言したことについては「天理高校を目指すのであれば応援すると言いましたが、本人にその意思が無ければその必要もありません」と意味合いが変化している。
母親と所長の主張は食い違ったままだが、所長が“条件”を示したという事実自体は録音された当事者のやり取りから明らかである。
これまで判明している所長の一連の言動は立場を利用したレリハラ、断りづらい環境の中で入信を迫る
レリジャスハラスメント/religious harassmentに他ならない。
どのような理由があるにせよ、特定宗教団体への入信を“交換条件”として持ち出したことに道義的な問題があることは明白だ。
では、この所長による不適切な宗教勧誘に法律上の問題はないのか。宗教被害に詳しい田村町総合法律事務所の渡辺博弁護士はこう語る。
「この職員の行為は明らかに
憲法20条の信教の自由違反です。民法上は
公序良俗違反(民法90条)に問える行為です。さらに、勤務時間内に職場で行われたとすると“その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い”なければならない旨を規定する
地方公務員法35条違反となります」