2019年の国内ニュースを振り返ると、世界各地に広がったデモが対岸の火事だとは到底思えない理由

香港。摩天楼とデモ隊

香港のデモ隊(撮影/大袈裟太郎)

海外デモは本当に日本とは無関係なのか?

 世界各地でデモが広がった2019年。 6月9日に香港で100万人規模が行進したことを皮切りに、スペイン(カタルーニャ)、エクアドル、イラク、イラン、レバノン、チリ、ボリビア、ハイチ、コロンビアなどでも大規模なデモが行われた。また、昨年11月に始まったフランスの黄色いベスト運動はついに1周年を迎え、今も継続している。  デモを具体的な成果に結びつけた国も続々と出ている。(レバノンは10月29日に首相が辞任を表明、チリは11月15日に国民投票実施が決定、イラクは11月29日に首相が辞任を表明、など) 〈参照:「世界でデモ拡散、民衆を突き動かす怒り」(ウォールストリートジャーナル 2019年11月24日) 〉  各国のデモの背景や要因は様々だが、デモを通して顕在化した各国の問題には共通性があるように思われる。そして、それらの問題は日本にとっても決して他人事ではない。本記事では2019年の国内ニュースを通して、各国のデモで顕在化した問題点が決して対岸の火事ではない理由を確認していきたい。

①警察の暴走

 丸腰のデモ参加者に対する警察や軍の過剰な暴力が世界各地で確認された。過去の歴史と同じように権力は暴走するということを現代においてもまざまざと見せつけられた。 ◆動画:スペイン ◆動画:チリ ◆動画:フランス  一方、日本でも警察の暴走の予兆と思われる出来事が7月に札幌で起こっている。  参議院選挙期間中、JR札幌駅前の安倍晋三首相の街頭演説で「安倍やめろ、帰れ」と連呼した男性と、「増税反対」と叫んだ女性が複数の警察官に取り押さえられ、現場から排除された。他にも、年金政策を批判するプラカードを掲げた市民も警官に取り囲まれたことが明らかになっている。  このような異常な取り締まりが日本でも現実に起きたのだ。法律の専門家は「ヤジを飛ばした聴衆を排除することに法的根拠はない」と批判しており、排除された男性は警官の排除行為は特別公務員職権乱用罪などにあたるとして、12月に札幌地検に刑事告訴した。〈参照:”「安倍やめろ」と演説にヤジを飛ばした男性が問う。なぜ声をあげると「迷惑」と言われるかの?”(ハフポスト 2019年8月28日)  また、この排除事件の翌月に札幌で行われた抗議デモに居合わせた筆者が当日の様子をツイートしたところ、インターネット上の情報操作という観点で興味深い事象に遭遇した。この不自然な事象については、下記のレポートに詳述している。 〈参照:note「1000リツイートを超えると彼らは一気にやってくる」(2019年8月13日)〉
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