2020年の米国市場、波乱を呼ぶ導火線は2つある

暴落局面を招く2つの導火線

 では、何を引き金に’20年の暴落局面は訪れるか? 1つには米中貿易戦争がある。足元では合意ムードが高まっているが、貿易摩擦が解消されることはない。仮に合意に至ったとしても、米国にプラスに働くことはない。なぜなら、中国が貿易交渉にあたって譲歩する理由がないからだ。習近平国家主席の任期は無制限。トランプ政権が倒れるのを待つ余裕はいくらでもある。  2つ目の相場の不安材料は米大統領選挙。’20年2月から大統領候補の指名準備に向けた予備選挙が始まるが、目下、民主党の中で最も有力視されているのはジョー・バイデン前副大統領だ。このバイデン氏は中道派であるが、トランプ氏には連邦債務の上限引き上げなど民主党中道派の政策を取り込んできた過去がある。中道派の票を取り込むことは、そう難しいことではない。

ハイテク企業への強化規制を推すウォーレン議員

 しかし、バイデン氏を僅差で追う、エリザベス・ウォーレン上院議員が対抗馬として本選に進むようなら、そうはいかない。彼女は富裕層への増税やGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)をはじめとしたハイテク企業への規制強化を主張している左派。その政策と主張は、テレビ討論会では攻撃対象となりやすい反面、彼女の存在感を引き立てる効果をもたらしている。  仮にトランプvsウォーレンとなれば、両極端な主張が戦うという構図になる。過去にない構図では票読みが難しく、相場は大混乱する。民主党候補が決定する3月3日のスーパーチューズデーを経てウォーレン氏が最有力候補に躍り出るようならば、NYダウは暴落し、世界的な株安局面が訪れる可能性もあるだろう。 【闇株新聞】 大手証券でトレーディングや私募ファイナンスの斡旋、企業再生などに携わった後、独立。’10年に「闇株新聞」を創刊。’18年に休刊したが、’19年7月に復刊。有料での情報配信も行う
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会