24時間365日営業を強いられては普通に生活することもできない。コンビニ元旦休業に向けたオーナーの悲痛の訴え

ローソン、ミニストップのオーナーも本部の実態を暴露

 今回の会見にはミニストップ、ローソンから計3人のオーナーが参加し、これまでの会見ではあまり語られなかったセブン‐イレブン以外のコンビニの実態が明らかになった。  ローソンは10月に元旦休業を全国の約100店舗で認める実験をすると発表し、これについてはネットで賞賛の声が上がっていた。しかし、公式に認められたこの元旦休業は実際にどの程度オーナーを利する効果を持つものなのか。ローソンは全国に14000店以上の店舗を抱えるコンビニであり、そのほとんどは元旦も営業することを強いられている。今回会見に参加したオーナーの発言からは、その大多数を占める末端オーナーの苦悩が伝わってきた。 「本部の言う通りにやっても利益が出ず、人件費を抑えるしかないという判断をしましたが、24時間営業しなければならない状況だとにっちもさっちもいかない。利益が出ないから人件費も出せず、借金するか、それとも自分で身を粉にして働いて病気になるかのどちらかしかない、というところまでいきました。  でも時短したいって言ったらダメだと言われたんですよ。ローソンの社長は前から時短を認めていたと言っていたけれど、それはほんの一部の人だけで、私たちみたいな普通のお店のオーナーはダメだとずっと言われています。24時間労働で普通に生活することもできない、そのためには自分の力だけでは無理だということでユニオンに加入しました。  それで、『今のコンビニのシステムはおかしいから、このままじゃダメだということを訴えていきたいと思います』ということを本部の人に訴えましたら、急に慌ててやってきて、『やめたいならやめていい。違約金もいらないし借金もチャラにします』と言われた。もうびっくりしました。今は交渉中です」

時短は利益の問題じゃない、体の問題

 また、ローソンだけではなくセブン‐イレブンもファミリーマートも、時短を行う時は必ず「実験」という名目でやることになっているが、ローソンのオーナーからはその是非を疑問視する発言もあった。 「本部は時短の場合に客入りなどの状況を調べるために『実験』をするといつも言うんですけど、私たちにとって時短は利益の問題じゃないんです。体の問題です。そこの問題意識をまったく共有してくれていない。現場の労働者が24時間営業で重労働をさせられているのを認識しているのかなと疑問に思います」  ミニストップのオーナーは赤字で経営ができず、やむを得ず閉店に追い込まれてしまった。それは借金を抱え込んでしまった結果だったのだが、雪だるま式に借金が膨らんでいく過程を歩ませた元凶は、経営のサポートを放棄しあらゆる責任をオーナー自身に背負い込ませる本部のやり口だった。 「開業当初からミニストップ専用のはずの駐車場のはずが、三分の一くらいの駐車場が使えず売り上げが下がりました。あとは設備の不良です。たとえば水道の水漏れですと、本部の人に交渉してもまったく直してもらえない。それで仕方なく弁護士に頼むとすぐに修理を手配してくる。保険も直接交渉しないと使えない状況で、交渉している時間がないので弁護士に頼むことになりました。そうして借金が雪だるま式に膨らんでいって、とうとう閉店という形になったということです」  ローソン、ミニストップのどちらとも、既に閉店が決まったかもしくは交渉中の段階にあるオーナーであり、その表情は険しいものだった。
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元旦ストの目的は唯一つ、「生きるため」
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