そのエスプレッソを、本体に備わったピストンを押して圧力を掛けるだけで、野外でも手軽に頂けるのが「ナノプレッソ」です。でも、全自動ではないので必要な手順はあります。その手順が、コーヒーをドリップする手順同様に、美味しいエスプレッソを頂くための儀式のように思えて、私にとっては楽しい時間に思えます。
手順は、まず本体内の小さなフィルターに極細挽きしたコーヒーの粉をセット。その際に標準装備されているスクープと呼ばれる軽量スプーンの腹で、強く押し込みます。カフェで働くバリスタさんがエスプレッソを淹れる際に、フィルターに詰めたコーヒーの粉をギューッと押し込む、タンピングと呼ぶ作業と同じです。このタンピングをしないと圧力を掛けて抽出する際に、ムラができて味わいに影響してしまうので、重要です。
次に本体下部のウォータンクとカップを外し、タンクに湯を注ぎ、本体に再びセット。最後に本体中央にあるピストンのロックを外して、押すだけ。だいたい8回のピストンで圧力が充填。注ぎ口からエスプレッソが抽出されます。初めて抽出した時、注ぎ口からピストンに合わせてトロッ~とエスプレッソが出てくる様子を見て、思わず「おぉっ~本格的!」と声を出しながらニンマリとしてしまいました。ここまで、約5分。やっぱり手軽です!
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もし手間を惜しまない、いや手間を掛けてでも美味しいエスプレッソを飲みたいという人は、セットするコーヒー豆を、直前にポータブルのミルで挽けば、一層香りも味わいも深みが増します。
また注ぐ湯は、保温ボトルに入れてきた湯でもなんとかなりますが、私が経験した限りでは湯温が低くなっていて、濃厚芳醇なエスプレッソのはずが、あっさり薄味になってしまいがちです。そもそもエスプレッソは、ちょっとぬるめの70℃くらいに抽出さるもの。この「ナノプレッソ」だと、60℃くらいの印象なので、注ぐ湯が冷めていると、「アイスコーヒーか!?」なんてことにもなってしまいます……。
では、どうするか? アウトドア用のバーナーで、その場で湯を沸かすのです! やっぱり面倒……ですかね……。でも、その場で湯沸かしした方が、断然美味しいのです。それにバーナーに火を点し、ゴォーと音を鳴らしながら湯を沸かしていると、案外気分が盛り上がるんですよ。しかもその湯で抽出したエスプレッソを味わってみれば、そこが近くの公園や土手であっても、「アウトドアしてるなぁ」って、しみじみするんです。こういう時間、普段忙しくしている人程、満足度が高くなると思います!
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イタリア発祥のコーヒー、エスプレッソ。細かく挽いたコーヒーの粉に、水蒸気で圧力をかけて短時間に素早くコーヒーを抽出することから、英語の「エクスプレス(EXPRESS)」、つまり「急行」と同じ意味を持つ、イタリア語の「エスプレッソ(ESPRESSO)」が語源になったと言われています。さらに「エスプレッソ」には、「特別」や「あなたのため」という意味もあるとか。
今年の冬は、高尾山からダイヤモンド富士を見たり、見晴らしのよい公園を訪れ、面倒くさがらずに、是非バーナーで湯を沸かして「ナノプレッソ」でエスプレッソを抽出、味わってみてくさい。きっと「特別」な「あなたのため」だけの時間になるはずです。
ちなみに、高尾山以外でも12月中にダイヤモンド富士を見られるスポットは
「ダイヤモンド富士」国土交通省関東地方整備局で確認できます。
<取材・文・撮影/PONCHO>