「600店閉店」を決めたオンワード。「売れない!買えない!そもそも知らない!」三重苦の百貨店アパレル

オンワード、全店舗の4分の1近くの大規模閉店の衝撃

 百貨店アパレル各社が不調に陥るなか、10月には百貨店アパレルの雄ともいうべき「オンワードホールディングス」(旧・オンワード樫山)が全店舗の4分の1近くにあたる約600店舗にも及ぶ大規模閉店を発表。業界に衝撃が走っている。  アパレル不況はここまで来たか――と言いたいところであるが、果たしてみなさんは最近「オンワード」系列の店舗で買い物をしているだろうか。そして、20代以下のみなさんは「オンワード樫山」という名前を聞いてピンと来るだろうか。
閉店セールをおこなうオンワードの店舗(組曲)

閉店セールをおこなうオンワードの店舗(組曲)。
かつて組曲は百貨店における「20代向けアパレル」として知られたが…。

「百貨店を育て、百貨店に育てられた」オンワード

 オンワードの起源となった樫山商店樫山純三が1927年に大阪で創業。戦後は「オンワード樫山」として、おもに百貨店での高級スーツ・婦人服販売により急成長を遂げた。2007年には持ち株会社化し、商号を「オンワードホールディングス」に変更している。  オンワードは「五大陸」「J.プレス」などのブランド名で知られる紳士服、「組曲」「23区」などのブランド名で知られる婦人服を中核に、「ポール・スミス」「カルバンクライン」などといった海外アパレルブランドのライセンス販売もおこなっており、大きな特徴の1つが中核ブランドの多くが「ほぼ百貨店内のみに出店する」業態だということだ。百貨店内アパレル大手として知られる企業はオンワード以外にも「ワールド」や「TSIホールディングス」(東京スタイルとサンエー・インターナショナルの統合会社)、「レナウン」などがあるが、オンワードはそのなかでもとくに百貨店内店舗の割合が高い。  こうしたオンワードの不振の大きな要因は、言うまでも無く「消費者の百貨店離れ」だといえる。それでは、オンワード系列の店舗は何故ショッピングセンターにはあまり出店しないのであろうか。
日本橋にあるオンワードホールディングス本社

日本橋にあるオンワードホールディングス本社(東京都中央区)。

 オンワードがこれほどまでに百貨店と親密な関係にあるのは、その「成り立ち」が大きい。オンワードの創業者である樫山純三はもともと三越の社員であり、百貨店に育てられた人物だ。そして、のちのオンワードグループの、そして国内百貨店の「成長の要」となった「消化仕入れ」(売上仕入れ)という仕組みもオンワードが作り出したものだといわれる。 「消化仕入れ」とは「買い取り仕入れ」(店側が商品を購入して仕入れる)と異なり、商店側は売場を貸して商品が売れた分だけメーカーに代金を支払えばいいという仕組みで、売れなかった商品はメーカーに返品することができる。百貨店、そして百貨店アパレル企業の多くは、こうした販売手法によって大きな成長を遂げた。  オンワードは百貨店に育てられ、さらに百貨店はオンワードに育てられたといっても過言ではないのだ。
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若い皆さん、オンワードって知っていますか……?
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