「桜を見る会」が紛糾する中で安倍総理と会食したメディア、しなかったメディア

「会食に参加しても記事の内容が変化することはありません」

 朝日新聞社は懇談に参加。しかし報道を見れば、批判は当たらないと主張した。 「11月20日の首相との懇談は、首相に対する数少ない取材機会の一環ととらえ、応分の費用を負担したうえで参加しました。取材を尽くしたうえで、遠慮なく報道することがメディアの役割だと考えています。  なお参加した弊社の首相官邸取材キャップは、翌21日朝刊1面『疑惑続出 逃げず説明を』という署名記事で、首相に対し『これで幕引きは許されない』と厳しく主張しています。この記事も含めて弊社の報道内容をご覧いただければ、『政権側とメディア側の近すぎる関係』というようなご懸念を持たれるには及ばないことを理解いただけるかと存じます」  実際、同社は11月26日の朝刊でも「桜を見る会予算額 今年も1767万円だけど みるみる膨らむ支出超過」という記事を掲載。予算を大幅に上回る支出が常態化していたことを批判している。  共同通信社も会食には参加したという。 「会食に参加しました。国の最高権力者である首相の肉声を聞く貴重な場と考えました。会食は会費制でした。こうした会食に参加したからといって、取材の記事の内容に変化が生じることはありません。報道機関として権力監視の役割をきちんと果たしていきます」  東京新聞編集局によると、同社の記者も参加したという。また会費は6000円(税込)で参加した記者が支払ったと明かした。  産経新聞社広報部は「取材に関することには、原則としてお答えしておりません」と、無回答であった。  また、読売新聞社は、質問状を送付したい旨を告げたところ、電話口で質問を聞かれ、質問に回答するかどうかを検討するとのことだった。記者の電話番号を伝えたが、その後連絡がなく、質問状すらも受け付けられなかった。  時事通信社は政治部に取材を申し込んだところ「問い合わせフォームから送ってくれ」と返答をもらい、そのようにしたが期日までに返答はなかった【訂正】2019年12月1日12時40分  時事通信社からは返答がなかったと記載しましたが、12月1日までに同社からは期日前に以下の回答があったことが分かりました。訂正してお詫び申し上げます。頂いた回答は以下のとおりです。 (1)参加しました。 (2)通常の取材活動と考えます。 (3)取材活動の一環と考えます。 (4)お答えは差し控えます。 (5)不信を招かぬよう、社論のない通信社として、公平中立な報道を日々心掛けています。 (6)6000円を会社が負担しました。

「首相本人に直接取材する機会は重要」

 テレビ局は、日本テレビ以外の局が回答してくれたが、その回答は簡素なものが多かった。  フジテレビは「取材活動の一環として参加しております」、テレビ朝日は「応分の費用を支払ったうえで、取材の一環として参加しました」と回答。  森友学園の報道等で政権への忖度が取りざたされているNHKは、「懇談や会食への出欠などについては、適切に対応しています。NHKは、公平・公正、不偏不党、自主・自立を堅持して、取材・報道を行っております」という。  テレビ東京は、「会食に参加いたしました。総理大臣を取材できる機会は少なく、直接取材ができる重要なタイミングであり、また、直接取材は記者にとり重要な職責であると認識しております。尚、会食には費用を負担して参加しております」という回答をくれた。  また、TBSは各質問項目ごとに回答をくれた。 「(1)参加いたしました。 (2)首相本人に直接取材する機会と考えております。 (3)首相本人に直接取材する機会は重要と考えております。 (4)特にありません。 (5)そうした批判にも留意しながら取材活動を行っております。 (6)6000円でした。TBSテレビとして負担いたしました」  なお日本テレビは、担当者につながらず、質問状の送付先を聞くことができなかった。  参加した各媒体も、あくまでも”取材活動の一環”であり“会食に参加しても権力監視の手を緩めていない”という。  ただ、さまざまな嘘や文書改ざんなどが明らかになってきている中、世論は政権だけでなく、権力の監視機構としてのジャーナリズムへも厳しい視線を向けていることを忘れてはならないはずだ。  報道各社には、「権力監視の手を緩めていない」という言葉のままに、“忖度”することのない報道を続けて頂きたい。  蛇足だが、上海大飯店の食べログの評価は3.35、ディナーの予算は4000~4999円となっている。「個室・半個室をご用意しており、接待や宴会にお勧めです」という。 <取材・文/HBO編集部>
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会