3トン以上のコカインを積んでいた潜水艦 (Photo by Marta Vázquez Rodríguez/Europa Press via Getty Images)
コロンビアから7690km以上、潜水艦でコカインを運ぶ
スペイン北西部のガリシア地方の主要都市のひとつビゴ市に面したビゴ湾の対岸カンガス市のコウソ岬の沖合で今月24日夜半、コカインを積んだ潜水艦が乗組員3名によって証拠隠蔽する為に沈められるという事件が起きた。ガリシア地方は南米からの麻薬の密入地として30年来盛んなところだ。そこからヨーロッパに密輸するのである。
この潜水艦が出航したのは南米コロンビアで、ガリシア地方まで直線にして7690kmを航海したことになる。麻薬を積んだ潜水艦が警察によって摘発されたのはヨーロッパで初めてのケースだという。(参照:「
La Voz de Galicia」)
全長22mのこの潜水艦は繊維強化樹脂を使って製造された代物で、しかも船体は二重構造になっておらず水圧への抵抗は僅かであることから海中に潜るのではなく海面のすぐ下を航海して行くといった感じだ。要するに船体を視界からくらます目的で製造されたものだ。手作りといった域から出るものではなく沈没する可能性も高いという。製造された場所はベネズエラに隣接したガイアナで、手作りレベルとはいえおよそ
250万ユーロ(2億9500万円)の費用が掛かったものと推察されている。(参照:「
Hoy」、「
El Pais」)
このような高い費用がかかり、沈没のリスクを背負っても潜水艦を製造し、密輸しようとするのはそれに見合うだけの価値ある麻薬を積んでいるということが条件になる。今回の潜水艦を最終的に浮上させてからその積荷量が確認されるが、
3000-3500kgのコカインを積んでいるものと推測されており、それを金額にすると
1億ユーロ(118億円)以上に相当する価値だという。特にこの時期はクリスマスシーズンに向かうということで麻薬の需要は急増する。(参照:「
La Voz de Galicia」)
南米から北米に向けての密輸の場合は今回のような潜水艦が使用される場合は頻繁にあるそうだ。しかし、
ヨーロッパまでの輸送となると8000km近くを航海する必要がありリスクも高い。2006年に同じくガリシア地方のビゴ市の河口で治安警察によって全長11mの潜水艦が放置されていたのを見つけたケースがある。今回の潜水艦はそれ以来であるという。(参照:「
Hoy」)