陸海空総動員で潜水艦の居場所を突き止めたポルトガル警察
今回、乗船していたのは二人のエクアドル人とひとりのスペイン人の三人であった。沖合80mのところで彼らはコックを開けて水を浸入させて沈没させるようにしてそこから離れて泳いで岸に辿りついた時に治安警察がそこに待機していた。その時にスペイン人は逃亡した。彼らはこの潜水艦で大西洋を横断してカーボベルデに到着し、そこからポルトガルに向かって北上したのである。
ポルトガルの警察は彼らが北上しているという情報は掴んでいた。彼らを拿捕しようとしたが出来なかった。それと併行してガリシア地方の都市ポンテベドゥラの治安警察もその情報を受信して捜査に当たっていた。と同時に米国の麻薬取締局からの情報も受信していた。しかし、受信していた情報が示していた目的地は的を外れていた。結局、治安警察と国家警察によって分析された情報にもとづいて陸、海、空から捜査を進めて潜水艦の居場所を突き止めたのであった。
彼らには食料が不足し、エンジンもしけで故障しているという情報も掴んでいた。彼らがモルテ沿岸までたどり着きその間もアストゥリア地方の漁師と交信していたことも分かっている。それは積荷の麻薬を受け取ることになっていた相手であろうと警察では推測している。(参照:「
La Voz de Galicia」)
また治安警察の潜水特殊部隊は海中に沈められたその潜水艦から積荷の一束を持ち帰ってコカインが積まれていることを確認。潜水艦を浮上させる検討に入っている。
結局、今回の密輸による麻薬は密売されることなく警察が押収することになる。コロンビアのカルテルにとって潜水艦を建造した投資への見返りはなく今回は目的は達成されなかったことになる。今回は偶々検出されたが、現在も南米から多量の麻薬がヨーロッパに密輸されているのである。
<文/白石和幸>