今回の全日遊連の決議には、「2020年1月末までに15%」という数値目標の他に、3つの条件が課せられている。
① 設置比率5%の期限については延期となるが、早期達成に向け、一貫して「減少傾向」となるよう努めること。
② 高射幸性パチスロ機を増台するような行為を行わないこと。
③ お客様が遊技することを想定していないような遊技機を設置して総設置台数を増台することによって、高射幸性パチスロ機の設置比率を下げるような行為を行わないこと。
以上の3つである。
これには
業界内からも不満が漏れ聞こえる。
本来の目標期限であった「2020年1月末までに5%」を遵守するために、計画的に高射幸性パチスロ機の減台を行っていたホールがバカを見るという意見である。一貫して減少傾向に努め増台は認めないというのであれば、ギリギリまで高射幸性パチスロ機を設置していたホールが有利になる。計画的に減台に努めていたホールが、それでも競合他店との関係性のなかで高射幸性パチスロ機の増台に踏み切るのか、自らの「遵法精神」と意志を貫くのか、難しい判断を迫られることになる。
繁忙期を迎えるパチンコ業界。今回決定でどう対応するか?
もう一つの問題は③の条件だ。
業界外の人には一読して何のことを言っているのか分からないだろうが、要は「
立ちスロ」の設置である。この「立ちスロ」に関しては、2018年6月に本サイトに寄稿した拙文『
なぜ客が付いてない「立ちスロ」が増えているのか? そのカラクリと問題点』を参照してほしい。
ちなみにパチンコ業界の統計によれば、
全国のパチンコ店に設置されている高射幸性パチスロ機の設置比率は既に15%を切っていると言われている。更に年末迄には全国に多台数設置されている高射幸性パチスロ機の法的な設置期限も迎える。
2020年1月末迄には自動的に設置比率10%を切るのだ。
それなのになぜ、敢えて「2020年1月末までに15%」という数字が出てくるのか。パチンコホールの思惑としては、
より集客がしやすく、本来の稼働が良い優良店や旗艦店に高射幸性パチスロ機を集約させ、売り上げ効率を高めたいとの思いがある。今回の全日遊連の決議に付帯された条件には、そのような対策を取ろうとするホールへの牽制も含まれているのだ。
何はともあれ、パチンコ業界が繁忙期を迎える年末年始。全国のパチンコホールが、今回の全日遊連の決議を受けてどのような対応をするのか、様々な意味で注目である。
<取材・文/安達夕>