なぜ客が付いてない「立ちスロ」が増えているのか? そのカラクリと問題点

安達夕
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※写真はイメージです よっしー / PIXTA(ピクスタ)

 一部のパチンコホールにおいて昨年末頃から増え始めた「立ちスロ」が、パチンコ業界で波紋を呼んでいる。「立ちスロ」はパチンコ店の新しい営業戦略になりえるのか。なぜホールは「立ちスロ」をやるのか。その理由に迫る。

「立ちスロ」とは文字通り、立って(もしくは簡易な椅子等に座り)遊技するパチスロ機のことで、主にホール内の通路や壁際の比較的狭い空間に設置されている。愛知県のとあるホールでは、200台以上もの「立ちスロ」が設置されている。

 パチンコ店で遊技台が増設されることはよくある事ではあるが、なぜ「立ちスロ」なのか。

 この「立ちスロ」には、通常のパチンコ店では考えにくい事が沢山ある。

 そもそも座る椅子がないというのもそう。遊技台の間にメダル貸出機もなく、コーナーの端で借りなくてはならない。ひどいホールでは、通常のスロットコーナーでメダルを借りてくれという案内の紙が貼ってあるところもある。また、遊技情報を表示したり、スタッフを呼び出したりする、データランプを併設していない店舗も多い。30年前のパチンコ店ではあるまいに、客の遊技環境がまったく整っていないのだ。

 それだけではない。現役のパチスロ遊技者であれば一目瞭然であるが、「立ちスロ」コーナーには、いわゆる不人気台しか並べられていない。そのほとんどは、不人気から客が付かず、早々にホールから撤去された台ばかりなのだ。そのような台を「立ちスロ」として再設置している。

 遊技環境も整っていない。遊技機の人気もない。これは推測に過ぎないが、設定だって期待できない。だから客の一人も遊技をしていない。それならば、パチンコ店はなぜ「立ちスロ」を設置しているのか。そこには、パチンコ・パチスロ遊技機規則の改正と、パチンコ業界が実施している自主規制との関わりの中で、一般の遊技客には分かり得ないカラクリがある。

誰も打ってない「立ちスロ」が成立するカラクリ

 この「立ちスロ」のカラクリを理解するためには、パチンコ業界の内情を知る必要がある。

 その内情を知る上でのキーワードは、「ギャンブル依存症」である。ここ数年、カジノ関連の法案が国会で審議される度に、「ギャンブル依存症」の問題が取り上げられ、その都度、パチンコが引き合いに出されてきた。

 パチンコ業界を管轄する警察庁では、この依存問題の対策の一環として、遊技機の射幸性(≒ギャンブル性)を抑制するため、今年の2月1日に、遊技機の規則に関する改正を行い、パチンコ・パチスロ遊技機の出玉性能を大きく制限した。

 一方、パチンコ業界では独自に高射幸性遊技機の撤去を自主的な規制として推し進めてもきた。遊技くぎに関わる問題と相まって、高射幸性パチンコ遊技機(MAX機)が、2016年12月31日にすべて撤去されたのち、業界は、高射幸性のパチスロ機に関わる自主規制に力を注いだ。

 その自主規制の内容とは、「新基準に該当しない回胴式遊技機(パチスロ機)」の設置比率を、ホールに設置されているパチスロ機に対して、2017年12月1日までに30%以下に引き下げるというもの。この数値を概ね達成した業界は、次の段階の新たな自主規制として、高射幸性パチスロ機を、2019年1月31日までに(パチスロ)総設置台数の15%以下に、2020年1月31日までには5%以下に引き下げることを決めている。

 更に2021年1月31日までには、設置比率0%としているが、そもそも旧規則下における遊技機の設置猶予期間が最長3年間であるため、2021年には自ずと0%にならざるを得ない。

 ちなみに、今もって高射幸性パチスロ機は遊技客からの人気も高く、ホール経営においては、売上・利益を確保できる遊技機である。「バジ絆」、「ハーデス」、「凱旋」、「モンハン月下雷鳴」、「サラリーマン番長」等。全国ほとんどのホールで、これら高射幸性パチスロ機は営業の要となっている。ホールにとっては、高射幸性パチスロ機を、1日でも長く、1台でも多く設置したいというのが本音であろう。

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「立ちスロ」設置は倫理的にアウトなのか?

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