イラスト/岩垣たかゆき
首都圏近郊の閑静な住宅街。緑美しい公園が目の前にあるというロケーションにも恵まれた豪邸。
レンガ造りの外壁に神殿のような門、エントランス脇には広々とした駐車スペース、大きめな両開きの玄関扉を開けると螺旋階段が出迎えてくれるという6SLDKだ。
オーナーは40代の女性。メディア関係の仕事に従事している。
該当の物件は
競売で見つけた物件で、豪邸ながらも購入価格は驚きの
450万円。
価格は建物のみを対象としたもので
土地の所有権はついていない。
それでも、
定期借地権の地代として支払っている額も月々2万円程度と格安なものとなっている。
該当の物件を競売で取り上げられた
前オーナーの家族3人が自殺しているという事故物件で、おまけに水回りトラブルや施工ミスによる傾きなどを抱える
欠陥住宅であるという。
それでも40代女性オーナーを購入に突き動かしたのは、過去に仕事で撮影利用していた
事故物件ハウススタジオの成功例。
その物件は医療ミスから廃業となった病院だったのだが、心霊番組やオカルト映像作品、肝試し企画などに貸し出すことで大成功を収めていたというのだ。
内部は壊れ放題、荒れ放題、おまけに地下には水が溜まったままというメンテナンス放棄状態ながらも、24時間約30万円での一棟貸しが人気となっていた。
そのため、今回の豪邸のような「
条件は悪くとも雰囲気だけは最高」という物件は、狙い通りの出物でもあった。
今では約6万円の小規模撮影貸し出しや更に少額な時間貸しが軌道に乗っており、
月間平均収入は35万円。約250万円をかけたというリフォーム代を考えても、数年で物件費用がペイ出来てしまうほどに採算性はバツグンだという。
事業であるため想定稼働率を70%、諸経費25%で利回りを計算してみても
実質利回り25.5%という驚愕の数字が浮かび上がる。
イラスト/岩垣たかゆき
東京
都内の主要駅からも徒歩数分という驚きの好立地。
築年数は見るからに30年以上が経過しているマンションだが、併設店舗の賑わいもあり、人の出入りも多く活気が感じられる。現状では空室も出にくいという状況が数年間続いているという。
そんな該当のマンションだが、1室が売りに出されるも、しばらく手つかずのままズルズルと値段を下げている時期があった。
それもそのはず、この1室は痴情のもつれから女性が滅多刺しにされるという殺人事件現場。超弩級の事故物件だった。
少人数であれば家族でも暮らせそうな2DKながらも、価格は1000万円を切るほどに。
最終的に物件へと手を伸ばしたのは外国籍の男性だった。
この男性は物件を付近では割安な8万円という額で不動産業者を介さず同胞へと貸し出し続け、空室が近くなれば母国語で玄関扉に「For RENT」看板を掲げるだけで空室期間を短く保っていた。どうやら同胞の出入りが多いためそれだけで借り手不足に陥らないようだ。
首都圏近郊で自然発生的に出来上がった中華街でも同じように格安な事故物件を外国籍の人間が入手し、同胞に向け貸し出すという手法は横行している。
普通のファミリーに貸し出しているケースはもとより、集団生活をしているケース、ホステス待機所とされているケースとその使われ方も様々だ。
中にはシェアハウスのように二段ベッドがいくつも置いてある物件もあった。
どこか「ジャパニーズ・ホラー」を気にしない、部屋を探している外国人を相手にシェアハウスや賃貸展開という手にはまだまだチャンスが潜んでいるかもしれない。
想定空室率20%、諸経費15%の利回り計算でも実質利回りは6.3%。