郊外の商業施設のスタンドは店名が日本語?になっていた
2019年もいよいよ終わりに近づいているが、振り返ってみると今年もまたいろいろとあった。その中で、タイにも影響があった日本のブームのひとつにタピオカティーが挙げられる。もう日本ではこのブームもメディアではあまり騒がれなくなってきているようだが、タピオカティーの今回のブームは実はタピオカ第3次ブームだとされる。
言われてみれば、ナタデココなどと共にココナッツミルクに浸された小粒のタピオカのスイーツが流行ったが、それが1次とされ、第2次は1990年代後半の、現在と同じタピオカティーのブームだ。
時代的にこの第3次ブームは爆発的な人気と一緒に問題点も議論された。糖分による健康被害や、SNSなどに画像を投稿するために買うだけ買い、飲まずに捨てるなどの問題がメディアに取り上げられた。タイ在住の筆者は日本で若い子たちが道端に捨てる様子を直接見ることはなかったものの、妙なノスタルジーを感じた。最近、その気持ちがなんだったのかに思い当たった。それは筆者が小学校低学年のころに起こったビックリマンのブームだ。シールほしさに買うものの、菓子は捨ててしまう男子児童がたくさんいた。筆者はその様子を間近に見ていたので、歴史は繰り返すものだと思ったものだ。
さて、タイにおいても2018年から全土的にタピオカティーのスタンドが増えに増えている。とはいえ、筆者が初めて来た1998年、ちょうど第2次ブームが日本で起こっていたころには台湾からタピオカティーの店が進出していた。それ以降も、タピオカパールのアイスティーは定番化していて、すでに珍しいものではなかった。
タピオカパールの食感は伝統菓子のタピオカよりもタイの子どもたちに好まれる
そもそもタイは昔ながらの伝統的な菓子にタピオカは欠かせないものだ。タイ料理などに使われる片栗粉もタイではキャッサバというイモを原料にしたもの、つまりタピオカパールの原料と同じものである。タイでは当たり前の食材であり、化粧品などの原料にもなる。タイ商務省によれば、2019年は世界最多の輸出量になるのだとか。日本の税関によれば、2000年代に入ってから2017年までの15年以上、タイ産のタピオカ原料が日本の輸入シェア第1位だったそうだ(2018年は台湾産が第1位に)。それくらい、タイではタピオカが当たり前のものだ。
この店ではタピオカティーはメインメニューではなく、トッピングで入れるようになっている
これが、近年のSNSに「映える」画像を載せたい心理と、生活様式の変化が重なったことでタイでもコーヒースタンドやカフェの増加に繋がり、同時に日本や韓国、発祥の台湾でタピオカティーが再ブレイクしたことを受け、タイでも改めて店が増えたと見られる。