――(番記者)今回の知事選、党本部としてはどのように位置づけられて、どんな選挙戦をしていきたいとお考えでしょうか。
下村「一地方の知事選ではなくて、国政に直結する大切な知事選挙になってきていたと思います。また相手候補が共産党籍を持つ(野党)統一候補ですから次の衆議院選挙にも知事選挙の結果は影響すると考えて、高知県の問題だけれども今の国政や今後の選挙にもつながるという思いで党本部としても全力で対応していきたいと思います」
一段落したところで囲み取材に加わった私は再度、「民間試験導入は争点になると思うか。『地方切捨て』という指摘もあるが」と聞いたが、「もう民間試験については
萩生田大臣が延期をして見直すということだから、争点には全くならない」と回答し、「高知を含めて『(地方の受験者が)不利になる』とは考えないのか」と再質問すると、
再びスタッフが終了宣言をした。
しかし別の番記者が「待って下さい。
代議士と教育業界の癒着を民間試験に絡めて報道している一部週刊誌がある」と言いながら見解を求めると、下村氏は一転して雄弁となり、
癒着を否定した上で、導入必要論を約2分間にわたって丁寧に語り始めた。
「全くためにする議論だと思います。そういうようなことは全くありませんし、そもそも英語の民間試験というのはすでに4年前の段階で約3割、250を超える大学が導入していることなのですね。業者のための入学試験というのは全くためにする議論です」
「(民間試験導入の目的について)私が決めたわけではなくて、これまで自民党の党の中で議論をしたことを政府が決定した。そもそも文科省も中央教育審議会等、いろいろな議論を積み重ねの中で今回決まったことなのです。今まで大学試験が読む書くことが中心の入学試験だったのが、語学は読む書く話す聞くですから。6年間、少なくとも英語を勉強して話すことが出来ないのはいかがなものかということから4技能を充実させる英語教育にしていこうと決めた中で、民間の英語試験を活用できるのであれば、活用しようということは既に4年前の段階でも約3割の大学が活用しているわけですね」
高知を含めた地方に不利になるとの批判がある英語民間試験に対して野党は「中止」を求めているが、教育利権疑惑の中心人物の下村氏は改めて必要論を訴え、都市と地方の格差拡大の恐れも否定した。与野党の見解が食い違っている以上、高知県知事選の争点の一つになるのは確実だ。松本氏は、導入必要論者の下村氏に次のように反論した。
「高知県のような地方に暮らす人たちには、
英語民間試験の導入がリスクになっている。県民の立場に立って考えたら、民間試験の導入には反対するべきだ。
延期ではなくて中止をするべきだと考えています。
今のセンター試験が一定の完成度をもってやられているので『急いで試験制度を変えないといけない』とか『民間試験を導入する』のは理屈としても通らないと思う。『都会優遇・地方冷遇』の安倍政治の弊害の一つです」
「大学入試の問題だけではなく、学校のあり方を問うているので(知事選の)論戦の中でも重要になってくる。争点の一つになる」
福岡市出身で高知に移り住んだ松本氏は共産党県委員だが、選対本部長は無所属の
広田一衆院議員(野党統一会派の国対委員長代理)、副本部長を立憲民主党県連代表の
武内則男衆院議員が務める。
共産系候補を他党が支える進化した野党共闘(選挙協力)が機能していたのだ。