審議会に諮問された「幸福の科学大学」の「教育」と、その問題点

幸福の科学大学

藤倉善郎撮影

 前回は、2014年の申請時に不正行為があったため5年間認可しないペナルティが課されていたが、ペナルティ機関を経て5年ぶりに申請され、ついに「諮問」にかけられるようになった「大学ではないユニバーシティ」、「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ」(HSU)の成り立ちについて説明した。  今回は、そこでどのような教育が行われているかについて考察したい。

UFOや宇宙人を連呼する「大学」

 同大学についての以前筆者が書いた記事で、申請前の2013年から不認可となった後の2015年までに発刊された「幸福の科学大学シリーズ」の書籍89冊について書いた。「霊言」「守護霊」「霊界」「宇宙人」「UFO」など、信じがたいワードが多数登場する書籍群だ。HSUの図書館には、宇宙人の霊言を収録したものも含めて大量の霊言書籍が並ぶ。大学祭にあたる「HSU祭」では、宇宙人関連の展示や、霊言に基づいて大東亜戦争を称賛し韓国人を見下す「愛国展示」もあった。  学校として捉えると異常に見えるが、学校の体裁をとった幸福の科学の宗教施設と捉えれば、これは「平常運転」だ。教祖であり幸福の科学における地球至高神エル・カンターレである大川隆法総裁は、日頃から上記のような趣旨の法話や霊言を大量に発表している。「幸福の科学大学シリーズ」も大半が大川総裁の著書だ。  宗教書ならばともかく、「大学」のものとしては考えられない内容で、学問と宗教の区別が付いているとは到底思えない。  2015年3月にHSUで行われた、前出のピラミッド型礼拝堂落慶式では、オープニングで大川総裁の法話が上映されている。
ピラミッド型礼拝堂内部

HSU祭開催期間中のピラミッド型礼拝堂内部(読者提供)

「これからちょっと日本が変わろうとしているので、宇宙時代、UFO時代に入っていこうとしているところなので、そういうものを探求していくのが、これから残りのHSUとかハッピー・サイエンスの“宇宙の法“の仕事だろうと」(大川総裁の法話『THE FACT 異次元ファイル・UFOスペシャル編』からの抜粋) 「“あの世がある”とか“宇宙人が来ている”とか“UFOはある”とかいうようなレベルの常識を突破できなかったら先に行かない。行けば行くほど狂っているようにこの世的には見えるんでしょうから、そういう意味での思想戦、思想的な戦いが起きている」(同)  「狂っているように」見えるから大学を不認可にされたのではないのか。大学が不認可となった後でもなお、信者たちにこのような法話映像を見せているのだから、教団も「神」も全く反省していない。  反省どころか「神」はUFOや宇宙人は存在するという教義を引っさげて、「この世」に戦いを挑んでいる。いや、戦いを挑めと信者たちを煽っている。  続いて「エル・カンターレ像開眼の儀」が行われ、前出の木村智重・理事長が挨拶する。 「ほとんどの方は今日初めてHSUをご覧になった方々だと思いますが、“これが果たして大学の校舎であろうか。ここは、神殿の中か宇宙船の中じゃないか”。そのような錯覚を持った方々が多かろうと思います。私自身もこの構内を歩いていて、大学のキャンパスとは思えない、まさしく宇宙都市であり未来都市を歩いているような感じがし、ここにいるだけで未来が見えてくるような気がいたします」  不認可にされたのに、内部では「大学、大学」と繰り返している。  渡邉和哉・HSUチェアマンの講話は、HSUの「宗教的装飾をスライドショーでご覧頂きたいと思います」との言葉で始まったが、そこで示された最初のスライドが、これ。
教団ビデオの衝撃的なシーン

教団ビデオより

「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティの配置と、こないだ『THE FACT 異次元ファイル UFOスペシャル編』(大川総裁による宇宙人リーディング映像=筆者注)でUFOが見えたというのを上から見たところですね。先ほどご覧頂いた(大川隆法総裁夫妻の)ご視察の日のUFOが出現した場所の写真の映像を、これから見ていただこうと思います」(渡邉チェアマン)

「地の果てまでも伝導」する若者信者の育成機関

 次に映し出されたのは、HSUの敷地内に建てられた「地球ユートピア実現記念碑」の写真だ。 「直径7.7メートルの巨大な法輪が地球を支えているイメージです。また全人類救済を祈念し、その地球の土台には四正道と“地の果てまでも伝道せよ”の英訳が刻まれています」(同)
黄金の地球儀

「Spread this truth to the end of the world(地の果てまでも伝道せよ)」と刻まれた黄金の地球儀(読者提供)

 「地の果てまでも伝道」する若き勧誘戦士を養成しようというのが、この「大学」の目的のひとつ。これは幸福の科学学園(中学・高校)も同様で、大学はその延長線上にある。2011年、教団内イベント「教育事業成功大会」で上映された、学園那須校の「探求創造科発表会」の映像の中で、男子生徒がこんな演説をしている。 「私達の使命は、やはり伝道なんです。伝道なんです! 私は、この人生一生を主に捧げていきたいと思います。そしてアメリカ伝道や世界伝道を成功させ、宇宙にも広がっていきたいと思います」(男子生徒)  すでに書いたように「主」とは大川総裁のことだ。大川総裁に一生を捧げ、地の果てどころか宇宙にまで勧誘活動をしに行くような若者を養成するのが、この教団の教育事業である。  HSUに隣接する教団施設・千葉正心館の敷地内にも、こんな絵馬がかけられていた。
絵馬

教団施設・千葉正心館の敷地内にかけられた絵馬(藤倉善郎撮影)

 幸福の科学学園那須校が併設されている教団施設・那須精舎内にも、学園合格を願う絵馬とともに「地の果てまでも伝道せよ」と書かれた絵馬が並ぶ。
那須精舎内にかけられた絵馬

那須精舎内にかけられた絵馬(藤倉善郎撮影)

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